本気で取り組む「SAP 2027年問題」、S/4HANAに必要な“メモリ100倍超”を実現するには
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「SAP S/4HANA」に必要なメモリは従来の100倍~200倍、そこで起きる問題とは
大手企業を中心に多くの企業で利用されているERPシステム「SAP ERP 6.0」のメインストリームサポートが、2027年末に終了する。それに伴って「新しいERPをどうするか」が、いわゆる「SAP 2027年問題」だ。当初、サポート終了は2025年末の予定だった。それが2年延長されたことで若干の時間的余裕はできたが、ERPの移行が大規模かつ時間のかかるプロジェクトになることを考慮すると、重い腰を上げ「真剣に取り組む」企業も増えてきたようだ。
移行先の最有力候補は、もちろんSAP自身も推奨しているSAP S/4HANA(以下、S/4HANA)になるだろう。インメモリデータベース「SAP HANA」を中核とするS/4HANAであれば、従来はディスクに格納していたデータやアプリケーションを、メモリ内で実行・処理できる。パフォーマンスが圧倒的に向上するのは、誰の目にも明らかだ。
ただし、必要なメモリも圧倒的に増える。一般的には、現在のメモリ量の100~200倍が必要とされる。それを示したのが、次の表だ。たとえば表のA社の場合、現行のメモリ量が135GBなのに対し、S/4HANAにすると1万8650GB(18.65TB)と138倍ものメモリが必要になるのである。
「それはやむを得ない。準備するしかない」と思われるかもしれないが、実は大量のメモリを準備しただけでは問題は解決しない。
インテルアーキテクチャのサーバ(IAサーバ)の場合、搭載できるメモリの上限は6TBである。インメモリデータベースの場合、大量のデータをメモリ内に格納するため、万が一の障害に備えてミラーリングが必要になる。このため、実質的に利用できるメモリの上限は3TBになるのである。
前述のA社が必要とするメモリ18.65TBは、すでに3TBを軽くオーバーしている。現行の100~200倍ものメモリが必要となると、こうした企業が、今後、続出する可能性があるのだ。S/4HANAへの移行を検討している企業は、この事実を正しく認識しているだろうか。
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