【事例】「基幹システム移行」でハマった落とし穴、“救世主”となったITインフラとは?
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移行期間を半年と宣言して、基幹システムのクラウド化をスタート
NTT-ATは、システムインテグレーションやセキュリティ、クラウド、IoT、AI、ロボティクスなどの幅広い事業を手がけるNTTグループの技術的中核企業である。現在、同社が積極的に取り組んでいるのが「自らのDX」だ。Value Co-creation事業本部 DXイノベーションプロジェクト プロジェクト長 都筑 純氏は、その意図を次のように説明する。この「自らのDX」という考え方のもと実施されたのが、長年、利用してきた基幹システムのクラウド化だ。具体的には、社内業務プロセス改革およびチェンジマネジメントを目的に、SAP ERP(ECC6.0)をSAP S/4HANA Cloud multi tenant edition (以下MTE、現在はessentials editionにサービス名を変更)に移行することを決断。しかも、事前に移行期間を半年と宣言し、短期間でのクラウド化を目指したのである。
SAP ERPの移行は、1~2年をかけた大規模なプロジェクトになることが珍しくない。それを半年で実行するのは容易ではない。事実、プロジェクトは難航を極めた。
「S/4HANA Cloud MTEはクラウドサービスでFit to Standardを基本としているため、カスタマイズはほとんどできません。したがって、独自要件をカバーするには、外部に別システムを作るか、SAPから新たに別のサービス提供を受けるかしかありませんが、それには時間もコストもかかります。そこでいろいろと検討した結果、弊社のRPA(Robotic Process Automation)ツールであるWinActorを使うことで、独自要件に対しても柔軟に対応できることが分かったのです」(都筑氏)
WinActorは、NTT研究所の技術をベースにNTT-ATが商品化した純国産のRPAツールだ。「現場フレンドリー」をうたい、ITの専門家でなくても開発、運用ができることから、国内No.1のシェアで導入企業は5000社を超える(2020年5月現在)。そのWinActorをERPのクラウド化で活用するという“新しい発見”が、プロジェクトを大きく前進させるかに見えた。だが、このRPAを扱うことで新たに発生した「意外な落とし穴」を克服する必要性が生まれたのだった。
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