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絶妙な「身代金」額の設定、最終的に支払う企業も多い
ランサムウェアはマルウェアの一種だが、感染するとコンピュータへのアクセスを制限したり、重要なファイルを暗号化されて、開けられなくなってしまうタチの悪い犯罪だ。マルウェアの作者は、この制限を解除するために身代金(ランサム)を要求してくる。たとえ身代金を要求されても、支払わなければよいと思うかもしれない。しかし実際には犯人の言うとおり、お金を送金してしまうケースも多い。その理由について、東京大学 情報学環 特任准教授の満永 拓邦氏は「『標的型攻撃』が長らく潜伏して機密情報を盗み出すのに対して、『ランサムウェア』は感染すると直ちにファイルやデータが使えなくなってしまいます。情報漏えいと異なり、実務に直接的なダメージを受けてしまうため、要求をのむ方が合理的と考えてしまうケースが多いのです」と説明する。
感染した個人のPCが使えなくなるだけではなく、社内のネットワーク経由でファイルサーバにも影響を与えて、最悪の場合すべての社内ファイルが開けなくなる恐れもある。満永氏によれば、1万件以上のファイルがランサムウェアによって勝手に暗号化されてしまった例もあるそうだ。そうなるとバックアップをしていなければ、どうにも手立てがなくなってしまう。またバックアップを取っていても、元の状態に復旧させるのには手間も時間も費用も膨大なものになってしまう。
「犯人から要求される金額は、数万円から数百万円が相場ですが、規模が大きくない企業でも支払えるぐらいの絶妙な範囲になっています。実に巧妙な金額の設定と言えるでしょう。システムを復旧するコストよりも、身代金のほうが安くなるため、最終的に身代金を支払ってしまう企業も少なくありません」(満永氏)
・4社に1社が被害に、そのうち約6割が「身代金を支払った」
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