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  • 2015/09/07 掲載
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製造現場の情報をリアルタイムに吸い上げてグローバルで見える化する取り組み

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株式会社日立ソリューションズ
ハイブリッド
インテグレーションセンタ
HI戦略部 野田勝義
 続いてのセッションは、日立ソリューションズ ハイブリッドインテグレーションセンタ HI戦略部 野田勝義 氏による「現場がつながることで新たな価値を創造する ものづくりITソリューション」であった。

 グローバルでのモノ作りが当たり前になったいま、世界各国の生産現場をつなぐグローバルサプライチェーンへの期待が高まっている。新興国等の成長市場のニーズ・価格に対応する製品・モノづくりを強化する一方で、需要変動に応じた生産調整や製品品種の絞り込み、製品・部品の過剰在庫の抑制などが求められているからだ。そこで必要になるのが、各製造現場の情報をリアルタイムに吸い上げて見える化し、グローバルに展開する仕組みだ。

 ここで野田氏が取り上げたのが、FOA(Flow Oriented Approach)である。FOAは、元ブリヂストン常務である奥雅春氏が2011年に設立したsmart-FOAが提唱したコンセプトであり、具体的な製品でもある。その開発には日立製作所も深く関わっている。

「FOAでは、現場から情報を吸い上げるとき、生データに『誰が』『どこで』などの背景データ、設計情報や製造情報などの説明データを付加します。そして、製造現場で発生するさまざまな情報に因果関係を持たせます。その結果、1つの工場内で生産実績や生産性分析、良品・不良品分析などをデイリーで実施できるようになり、その情報をグローバルで共有することで、グローバル規模の経営コックピットを実現できます」(野田氏)



グローバルレベルの日次での在庫データ管理と設計情報の共有

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グローバルレベルでの在庫管理も大きな課題である。具体的には、月次レベルの在庫データだけでは問題在庫を発見するのが困難であり、特に動きの激しい製品では、部品・材料が過剰となったり、過小在庫/過剰在庫等が発生したりする。野田氏は、この問題を解決するのが、日次での在庫データ管理であるとして、次のように説明した。

「日次レベルで在庫データをつなぎ、見える化すると、問題在庫を早期に発見できるようになります。さらに、これをグローバルで展開し、拠点別や製品別で在庫を見える化すれば、グローバルレベルで需給調整が実現できます。それを実現できるのが、『SynCAS PSI Visualizer』です」(野田氏)


 セッション最後では、グローバル化する製品開発の課題と解決方法について触れられた。現在は、製品開発が1つの国だけで閉じることはない。市場ニーズに合わせた製品を開発するには、海外拠点やサプライヤーとの連携が不可欠となっている。したがって、サプライヤーとの間で仕様書や図面などの設計情報を共有する仕組みが求められている。

「ただし、サプライヤーに作業指示を出す場合、設計データのやりとりだけでは、設計変更の理由や背景まで伝えることはできません。そこで、設計情報だけでなく、時系列のやりとりを見える化することで、コスト削減や迅速な意思決定を支援することが重要になります。同時に、仕様書をDRMで保護したり、取引終了後は閲覧を停止したりするなどのセキュリティ対策も必要です。『活文Managed Information Exchange』は、こうした企業間情報共有・交換基盤として有効です」(野田氏)

グローバル経営情報可視化の必要性とそれを実現するソリューション「CostProducer/ProfitNavi」

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株式会社日立ソリューションズ
ビジネス・アプリケーション本部
担当部長 奥沢浩氏
  3番目のセッションでは、日立ソリューションズ ビジネス・アプリケーション本部 担当部長 奥沢浩氏が、「SAP BOを用いた グローバル経営情報可視化ソリューション」と題して、グローバルでの経営情報可視化の必要性とその仕組みについてセッションを行った。まず奥沢氏は、グローバル化時代に求められる経営課題について、次のように説明した。

 「複数の国にまたがって製品を作ると、同じ製品にもかかわらず、生産拠点ごとに製造原価が異なります。また、為替や資源価格の変動により、同じ製品を同じ数だけ作っても、利益がまったく違ってきます。さらに、国内と海外では製品のライフサイクルも違います。国内では廃れても、新興国では通用する製品も少なくありません。つまり、グローバル横断で全体を見て、最適化できる仕掛けが不可欠なのです」(奥沢氏)

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 ところが、現実には、こうしたシステムを整備している企業は少ない。その理由について、奥沢氏は「製造業が海外進出するときは、モノを作って売るシステムを最優先にするため、経営情報システムはどうしても後付けになってしまうのです」と説明した。そして、そこを支援するシステムが、日立ソリューションズが提供する製品利益計画パッケージ CostProducer/ProfitNaviであるとして、その概要と具体的な事例を説明した。

「ProfitNaviは、各国のシステムから生産データ、販売データなどを集めてきて、かつ市場予測データなどを加えたうえで、製品ごとの収益を計算し、製品の採算シミュレーションを実現します」(奥沢氏)


 そして、具体的な事例として、ProfitNaviをグローバルで展開し、事業部別、製品別、顧客セグメント別などの利益を月次・週次で見える化し、売上・営業利益ともに大幅に伸ばすことに成功した企業の取り組みについて紹介した。

ProfitNaviの詳細機能の紹介と実機によるデモも実施「CostProducer/ProfitNavi」

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株式会社日立ソリューションズ
産業ソリューション本部
主任技師 福手健二
  セミナー最後は、奥沢氏のセッションを引き継ぐ形で、日立ソリューションズ 産業ソリューション本部 主任技師 福手健二 氏が登壇し、「勝つためのコストマネジメント 製品利益計画パッケージ CostProducer/ProfitNaviのご紹介」が行われた。セッションの内容は、ProfitNaviの詳細機能の紹介と実機を使ったデモンストレーションであった。福手氏は、ProfitNaviが対象とする業務範囲と製品が持つ3つのコンセプトについて、次のように説明した。

「ProfitNaviが対象とする業務範囲は、行動計画の策定、利益計画の策定、売上計画の策定、費用計画の策定の4つです。製品のコンセプトは3つあります。1つ目は製品コストデータ基盤の構築、2つ目は製品利益計画機能をフレームワークとして提供すること。3つ目が戦略テーマを織り込んだ計画シナリオ管理です」(福手氏)


 最後に実機を用いてProfitNaviのさまざまな機能のデモンストレーションが披露された。たとえば、生産拠点を中国からベトナムに変更した場合、どれくらいコストインパクトがあるかといったデモだ。ある製品の利益が落ち込んでいる場合、製品や国毎のドリルダウンで原因分析が可能で、その原因となる製造拠点、製造原価、製品価格などの要素を変更した場合のシュミレーションが可能となる。このようにProfitNaviの高い分析機能、シミュレーション機能が紹介され、全セッションを締めくくった。

 全セッションを通じ、インダストリー4.0をはじめとしたものづくりの新しい流れに対する日本企業の遅れに危機感を感じ、今後の対処法を模索すべく熱心にメモをとる参加者の姿が印象的であった。今回のセミナーを通じ、日本の製造業が巻き返しを図るための何らかの気づきとヒントが得られれば幸いです。

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