PDCA サイクルで BI 活用を劇的に促進! Excel で始め SQL Server で深める企業データ分析 【後編】
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PDCA サイクルで考える企業データ分析をおさらい
では具体的に、データ分析の目的を PDCA サイクルの中に位置付けるとどうなるか、改めておさらいしましょう。
PLAN フェーズは、実行計画を立案するフェーズです。実績データの分析、作成した個々のデータの積み上げ、複数パターン間での比較、要素項目の値を変えて全体の変化を見るシミュレーションなどが行われます。目的は「計画の根拠を得る」ことです。
DO フェーズは、計画に基づいて実行するフェーズです。日々の企業活動において蓄積される業務システムの履歴データからパフォーマンスを計測し、動向をモニタリングします。「問題の兆候を発見すること」が、ここでのデータ分析の重要ポイントです。
CHECK フェーズは、DO フェーズで捉えた現象をより掘り下げていくフェーズです。結果に至った要因がどこにあるのかを探り、「何が問題の要因なのかを検証する」ことがデータ分析の目的となります。
ACT フェーズは、把握した問題/課題に対して対処策を立案し、それを実行するフェーズです。さまざまなデータから使えそうな未知の関係/傾向などを探して検証し、対処策の実行につなげていきます。「対処のヒントを得る」ことがデータ分析の目的になります。
表1■データ分析の目的 | |
フェーズ | データ分析の目的 |
PLAN | 計画の根拠を得る |
DO | 問題の兆候を発見する |
CHECK | 問題の要因を検証する |
ACT | 対処のヒントを得る |
こうした PDCA サイクルに沿ったデータ分析には、Microsoft Excel 2010 や Microsoft SQL Server 2008 R2 が有用であることは、DO フェーズを実例にして前編でお話しました。後編は問題を深堀りしていく CHECK フェーズを中心に、ここでの業務、Excel 2010 でのデータ分析、さらに SQL Server 2008 R2 を利用した上級編のデータ分析について解説します。
Excel で行う方法とは?
CHECK フェーズでは多角的な分析を行う OLAP 分析を利用
では、問題の要因はどのようにして発見していくのでしょう。原則は、目標と結果の比較を行って、よくないと評価されたときにどこがよくないのか、誰が、何がという要素を掘り下げていく、問題を特定していくことです。具体的には、兆候が発見された問題に関するデータについて、いくつかの角度でデータの範囲を絞りこんでいく、という行為になります。
たとえば、担当者別で山田さんの成績が悪いということがわかりました。そこで山田さんが担当している顧客に関して見てみます。すると近畿商事がよくないということが見えてきました。それでは近畿商事で何が売れていないのか。それはノート PC だということがわかりました。これで、"山田さんの顧客である近畿商事でノート PC の売上が著しく悪い" ことが問題として特定できました。
しかし、こういう一方的な掘り下げだけでは本質的な問題を見逃す、あるいは問題の原因というのを読み違えるケースがあります。もしかしたら、ノート PC の売れ行きは、山田さん以外の営業マンもみんな悪いかもしれません。それを確認せずにすべての問題を解決しようとすると、間違いを犯してしまいます。CHECK フェーズにおける分析は、単純な一方向だけではなく、多角的な検証が必要になります。
こうした多角的な分析を行うデータの分析手法としては OLAP (On Line Analytical Processing) が有名です。OLAP というのは、オンラインで集計結果をすばやく表示するしくみのことです。とくに複数の次元で集計することを多次元 OLAP と言いますが、昨今では多次元分析ができるのは必須となっているので、「OLAP≒多次元データ分析のためのしくみ」と考えて差し支えありません。具体的な手法としては、「スライシング」「ダイシング」「ドリルダウン/ドリルアップ」「ドリルスルー」などがあります。