「戦略的IT投資で、創造性ある情報共有基盤づくりを」――アイ・ティ・アール 舘野氏インタビュー(2/2)
Notes マイグレーション実践講座セミナー連動
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戦略的なグループウェア選択には
SIerの提案力が重要
「確かに多くの企業で何らかのグループウェア製品が利用されていますが、全社的な情報共有基盤として機能している企業の割合は決して多くありません。大企業などでは、業務部門が個別に立ち上げたデータベースが乱立し、管理に苦慮しているケースも見られます。SaaSに代表される新しいテクノロジーや使い勝手の良い製品が登場してきている今、あらためて自社のグループウェア環境を見直す時期に差しかかっていることは確かです」
ユーザー企業が真剣にグループウェアを選別すると同時に、ユーザー企業の情報システムを受け持つSIerに対しても、ユーザー企業にどれだけ戦略的なグループウェアを提案できるかという点が重要な課題になってくると舘野氏は指摘する。
「日本ではNotesが多くのシェアを獲得していますが、それはSIerが提供しやすい製品だったことも大きな要因だと考えています。つまり、ユーザー企業の製品選定に及ぼすSIerの影響力はそれだけ大きいわけです。新技術や新製品がで揃いつつある今、ユーザー企業には、自社の長期的なIT戦略にコミットしてくれるような優れたSIerを選択することが求められています」
全社的にプランニングされた
「創造性のある基盤づくり」が必要
今後は、IT投資戦略を見直し、それを基に必要な分野に集中してIT投資を行う企業が増えてくると予想する舘野氏。では、企業が戦略的な情報共有基盤を実現するために、どのような情報システムを構築すべきなのだろうか。舘野氏は、全社的にプランニングされた「創造性のある基盤づくり」が必要だと考えている。
「やはり情報共有基盤は、きちんとしたアーキテクチャに基づいて企業に取り入れるべきだと考えます。ツール任せ、システム任せの情報共有では、会社として効率化を図ることは難しいでしょう。たとえば、どういう情報は電話でやりとりし、どんな情報はメールで連絡すべきか、といった実務的な作業レベルまで、全社的にプランニングしなければならない時代だと思います」
また、従来のように社内だけで完結した情報共有ではなく、社外を含んだ情報活用が今後、企業にとっての課題になってくると舘野氏は予想する。
「今、ビジネスマンのワークスタイルは大きく変わってきています。これまでは同じ会社に10年、20年と勤めることが当たり前だったのが、現在ではもっと流動的な雇用形態になっています。それにともなって当然、企業文化も変わってきます。グループウェアは企業のコミュニケーションの基本ですから、企業文化が変わってくるとグループウェアの見直しも必要になってくるかと思います。また、社外のサプライヤや顧客と情報を連携させたり、社外のスタッフを含めたプロジェクトを進行させたり、これまでの社内情報共有だけでは実現できなかったような密なコミュニケーションを行う必要も出てくるでしょう。こうした新しい企業コミュニケーションの実現は、これから企業の課題となってくると思います」
舘野氏は、2月18日に開催されるセミナー「Notesマイグレーション実践講座」にて、「回復期へ向けたIT投資戦略を考える ~今こそ求められる情報共有のための基盤づくり~」と題して基調講演を行う。企業のIT投資予算が削減される中で、重要性がクローズアップされてきた情報系アプリケーション。戦略性のあるIT投資を実現するために、一度、企業の情報共有基盤を見直してみる必要がありそうだ。
[インタビューアー 大山 貴弘]