「戦略的IT投資で、創造性ある情報共有基盤づくりを」――アイ・ティ・アール 舘野氏インタビュー
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2009年度のIT投資指数はマイナス
企業がIT投資を省みるモードに
2008年秋のリーマン・ショック以降、急激な景気後退の煽りを受け、国内企業のIT投資マインドは冷え込んでいる。国内企業を対象にアイ・ティ・アールが実施しているIT投資動向調査によると、2009年度のIT予算の増減傾向を指数化した「投資指数」は「-3.80」となり、2001年の調査開始以来初となるマイナスを記録した。
国内企業のIT投資指数の下落についてアイ・ティ・アールのシニア・アナリスト舘野真人氏は、長引く経済不況の影響に加え、企業のIT投資マインドの変化があると分析している。
「これまで行ってきたIT投資について、多くの企業が一度立ち止まり、省みるモードに入っていると考えています。そのため、再び景気が上向きになったとしても、それにしたがってIT投資がすぐに回復するとは限りません。今後は、企業のIT投資戦略を見直し、それを基に必要な分野に集中してIT投資を行う企業と、戦略性のないIT投資を行う企業とが、明確に分かれてくると我々は予想しています」
IT投資予算が減少する中
情報共有基盤への投資意欲が集中
「1つは、企業にとって情報共有の仕組みづくりが長らく課題であり重視されてきたテーマであるにもかかわらず、未だ多くの企業でそれが実現できていないということ。2つ目に、政府によるテレワークの推進やパンデミックへの備えなどにより、ワークスタイルの変化に応じた情報共有の仕組みが必要となったこと。そして3つ目には、会社としての競争力維持のため、ホワイトカラーの生産性の向上に、各企業が積極的になってきたこと。そうした理由から、多くの企業が情報共有基盤に対して高い投資意欲を維持していると、我々は考えています」
情報系アプリケーションの投資意欲は
製造業と大企業で高い傾向に
「製造業は、今回の調査で最もIT予算が縮小した業界の1つでした。特に、基幹系のアプリケーションについては、かなり大胆に予算カットした企業が多くみられました。その一方で、グループウェアやコラボレーションなどの情報系のアプリケーションへの投資意欲が高まっている傾向にあります。基幹系のアプリケーションに比べて、情報系のアプリケーションは比較的導入しやすく、なおかつ使い勝手の良い製品が世の中に出始めていることもあって、投資対象として注目されているのではないでしょうか」。