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  • 2024/01/22 掲載

DXが「絵に描いた餅」で終わるワケ、各務茂雄氏が明かす日本のDXにはびこる“問題点”

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描いていたのはこんなDXじゃない──そう思うことがあるとしたら、それはアプローチが間違っているからだ。日本には日本に合ったDXがある。そう語るのは、マイクロソフトやアマゾンウェブサービスジャパンでの経験を元にKADOKAWAやMUFGなどで経営改革をリードした各務 茂雄氏だ。では、“絵に描いた餅で終わらせない、本物のDXの実現”を成功させるためには、具体的にどのような戦略が必要なのだろうか。
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JTB 執行役員 CDXO / iU情報経営イノベーション専門職大学 准教授
各務 茂雄 氏

VMware、楽天、マイクロソフト、アマゾンウェブサービスジャパンなどを経てドワンゴへ移籍。2019年にKADOKAWA Connected代表取締役社長就任。2022年3月に退任後、三菱UFJ銀行デジタルサービス企画部、経営企画部 部長としてMUFGのDXを行った後、現在はJTB 執行役員CDXO、GovTech東京 業務理事 CTOとしてDXを推進中。著書に『世界一わかりやすいDX入門』『日本流DX』他。

パーパス経営、全社DXを真に実現するために

 SmartHRは、2024年2月14日(水、Day1)と21日(水、Day2)にBusiness Conference「SmartHR Agenda #4 ~パーパスを実践する企業の挑戦 人手不足時代を乗り越える~」をオンライン開催する。パーパス経営をめざしながらもまだ道半ばという課題を持つ企業に向け、成果最大化のための基盤づくり、組織づくり、全社DX推進の手法を通じて解決策を紐解いていく。

 ここでは、Day2ファシリテーターを務める各務 茂雄氏のスピーチ、そのエッセンスを先出しでお届けする。

■経営を持続的に支える、「日本流DX」実現へのロードマップ

JTB 執行役員 CDXO / iU情報経営イノベーション専門職大学 准教授 各務 茂雄氏が、「SmartHR Agenda #4 ~パーパスを実践する企業の挑戦 人手不足時代を乗り越える~」(2024年2月7日、14日、オンライン開催)に登壇。テーマは、「経営を持続的に支える、「日本流DX」実現へのロードマップ」。
どなたでもご視聴が可能です(無料登録制)。


お申し込みはこちら ▼
「SmartHR Agenda #4 ~パーパスを実践する企業の挑戦 人手不足時代を乗り越える~」

日本のDXが“絵に描いた餅”で終わる理由

 日本のDX現場では、その試みの多くが“絵に描いた餅”で終わっていると各務氏は言う。これは一体どういうことか。

「DXを推進するためには、CEO、CDTO、CIOといった経営陣が会社全体をどのように変革していくかというビジョンを示すことが重要です。しかし、そのビジョンを形にするためには、どのようなアクションを起こすかという各論に落とし込まねばならず、これがないと『ビジョンはあってもDXが実現できない』、つまり“絵に描いた餅”に終わってしまうというわけです」(各務氏)

 この課題を解決しようと思えば、経営層と現場の間にミドルマネジャーを配置して、両者をつなぐ必要がある。ミドルマネジャーが両者の声を聞き、それぞれの立場を理解して落とし所を見つけていくのだ。

 もう1つ、日本のDXが“絵に描いた餅”に終わりやすい理由として、日本の人事制度がメンバーシップ型雇用を前提としていることもあるという。

 メンバーシップ型雇用とは、年功序列、終身雇用、新卒一括採用を前提とした雇用システムで、このシステムでは人物を重視して人材を雇用し、部署異動や転勤を繰り返してキャリアアップを図っていく。

 メンバーシップ型雇用とDXは、「相性が良い点、悪い点があり、どちらかというと悪い点が目立ちます」と各務氏は主張する。

「というのも、DXは長期戦であり、3年程度では終わらず、5~10年といったスパンで時間がかかります。ジェネラリスト育成を行っている日本企業は、3年で異動をさせがちですが、それで何が起きるかというと、自分が起こしたDX企画の完成を見ないうちに異動しなければならなくなるということです。また、誰かが作ったDX企画を途中から受け止めならないケースも出てくる。渡す側からすると、最後まで見届けられないため本気になれず、受け止める側からすると、前任者のやりかけ企画を引き継ぐという過去の負債からスタートすることになるのです」(各務氏)


 ただ、定期異動が存在することは、DX人材を異動させやすいという側面もある。そこで、社内公募などといった文化をうまく活用して、人材を適材適所で配置できるようにすれば、メンバーシップ型雇用の良い点が活かすこともできるという。

アナログとデジタルの融合、人材の適材適所配置が重要

 各務氏は、日本企業がDXを実現する上で必要なのは、現状のビジネスの全体像を俯瞰し、デジタル技術をテコに自社が持つ「アナログな価値」を活かしてビジネスモデルを再構築することである、と説く。DXのゴール自体は、仕事の利便性を高め、そのスピードを上げるために、デジタル思考とデジタル技術を用いてビジネスに関わるあらゆる事象に変革をもたらすことだが、その根底には「アナログな価値」への尊重がある。

 DXゴールへ向かう道筋においては、適材適所の人材配置も欠かせない。立ち上がりは思い切ったDX投資が必要で、このフェーズで取り組む人材は、やはり思い切ったことができる「ハイリスク・ハイリターン人材」が適している。プロジェクトが軌道に乗ってくると、安定的に利益を生み出す仕組みづくりが鍵となってくるため、「ハイリスク・ハイリターン人材」と、デジタル思考が得意で、合理化を徹底的に行える「ローリスク・ローリターン人材」のミックス状態が好ましいといった具合だ。

「人材の適材適所配置が重要です。適材適所であれば、『これは自分の仕事だ』と思えます。自分の仕事だと思うと、モチベーションが上がります。モチベーションが上がると、フィット感が高く、アウトプットが良くなります。そうすると、会社で成果が出る上に、個人もやる気が出て、スピードが上がり、成長する角度が上がってきます。成長する角度が上がってくると、会社の業績に貢献できる可能性は高くなる、というグッドサイクルが回るのです」(各務氏)

自社にも適用可能なDX成功体験がここに

 真にDXに成功したといえるためにまず、会社のありたい姿をきちんと解像度高く描いていくことが非常に重要だ。また、絵に描いた餅にしないために、推進していく上でのフィジビリティ(実現可能性)をどう探っていくか、確実に進めるためにどう取り組みを順序立てていくか、講演では実例も交えながら、視聴者が自分の会社組織に当てはめて考えられるよう解説される予定だ。

 また、DX活動を支えるためには適材適所の人材配置も重要で、それは一人ひとりの個性を認めるということに尽きる。その多様性を受け入れていく具体的な手法についても、今回の講演の場で明らかになる。

 もう1つ、DX推進では取り組みの「仕組み化」も欠かせない、と各務氏は常々語っている。これができている組織は、いざ開花するというときに一気に5倍、10倍にスケールアップ可能で、時間をかけずに大きな果実を手中にできるという。この「仕組み化」の詳細についても、2月14日(水)Day2本編でぜひご確認いただきたい。

■経営を持続的に支える、「日本流DX」実現へのロードマップ

JTB 執行役員 CDXO / iU情報経営イノベーション専門職大学 准教授 各務 茂雄氏が、「SmartHR Agenda #4 ~パーパスを実践する企業の挑戦 人手不足時代を乗り越える~」(2024年2月7日、14日、オンライン開催)に登壇。テーマは、「経営を持続的に支える、「日本流DX」実現へのロードマップ」。
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