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DXが進展する現在、マルチクラウドや、リモートワークなどこれまでとは異なるインフラや働き方を導入する企業が増えているが、並行してインシデントや脆弱性報告が相次いでいる。サイバーリスクを完全に予防することは、至難の業である。だからと言って、安全性を重視して「IT技術を使わない」という選択をするのが正解とは言えないだろう。そこで求められるのが「サイバーレジリエンス」だ。サイバーレジリエンスの概念や6つの属性について、奈良先端科学技術大学院大学のサイバーレジリエンス構成学研究室教授・門林雄基氏が解説する。
PCやプリンタに代表されるSlow ITは、設計開発から市場投入まで時間がかかるのが特徴だ。「軽いPCが欲しい」「高精細なプリンタが欲しい」といったニーズの想定から始まり、設計・製造、テスト、品質改善、量産などの工程を経る必要がある。そのため、プロダクトアウトまで1~2年と長い時間がかかるのが普通だった。
インターネットの登場により生まれたのが、クラウドやAIといったFast ITである。Fast ITの特徴は、クラウド上にあらゆる情報があり、設定や修正をクラウド上で行えるという点だ。そのため、製品ができた段階ですぐにプロダクトアウトし、ユーザーからフィードバックをもらって改善するという提供方法が可能になった。
今日、このSlow ITとFast ITが併存しており「安全性のためにはどちらを使うべきか」という議論も起こっている。しかし、どちらもサイバー攻撃の対象になり、セキュリティリスクがある点は見逃せない。
現代に求められるのは、複眼的なサイバーリスク対策である。それでは、DXを安全に進めるためにはどのような対策を行えばよいのか。考え方の基礎となる「6つ属性」について奈良先端科学技術大学院大学のサイバーレジリエンス構成学研究室教授・門林雄基氏が解説する。
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