- 2024/08/23 掲載
緊張感持ち市場注視、物価目標実現の確度高まれば緩和度合い調整=日銀総裁
[東京 23日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は23日、衆院財務金融委員会の閉会中審査で、不安定な金融資本市場が経済に与える影響を緊張感を持って注視するとしたうえで、経済物価で想定している姿が実現する確度の高まりが確認できれば緩和度合いを調整する姿勢に変わりないと語った。
植田総裁は7月末の追加利上げとその後の世界的な株価急落と円高に関して認識を問われ、「世界的なドル安と株価変動は米景気減速懸念の広がりが契機となった」との認識を示し、円高については7月末の日銀の利上げも一因だったと語った。
そのうえで「(株価は)8月中旬以降上昇しており、米景気に対する過度に悲観的な見方が修正されている」と説明した。今後の政策運営については「金融資本市場が物価・経済に与えるリスクや7月の利上げの影響を見極める」とし、「経済物価の見通しについて想定する姿が実現する確度が高まることが確認できれば緩和度合いを調整する基本的姿勢に変わりない」と語った。
7月利上げの理由については「物価目標の達成に向けて基調的な物価が想定通りに推移し、円安による輸入物価上昇で物価の上振れリスクがあったため」と説明した。
円安進行と日銀物価見通しの関係を問われ、「為替レートの変動が物価見通しの中心値に影響を与えることがある」と述べ、「経済・物価への為替の影響を引き続きしっかり点検していきたい」と強調した。
植田総裁はまた、金融緩和が終了する場合の名目金利の水準、中立金利はどうなるかとの質問に「理論的に言うとそういう状態での名目政策金利の水準はインフレ率2%と実質金利を加えたものになる」との考えを示した。中立金利そのものについて、自信をもって示せるものがあれば示したいがなかなかそういう状況ではないとの考えを示し、7月の利上げは中立金利より下の緩和的状況での金利調整だと説明した。
日銀が保有する上場投資信託(ETF)の処分については、ある程度時間をかけて検討する考えを改めて示し、その際には市場への影響や日銀の損失発生を回避しつつ、適切な対価で行いたいと語った。
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