• 2024/08/22 掲載

公取委、日清食品に警告 小売業者への不当な値上げ要請で

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Takahiko Wada

[東京 22日 ロイター] - 公正取引委員会は22日、日清食品に対し独占禁止法違反の疑いで警告を出したと発表した。小売り業者に対し、カップ麺の販売価格を同社が提示した価格まで引き上げるよう要請していたことが、「再販売価格の拘束」を禁ずる規定に違反するおそれがあると判断した。

警告対象となったのは「カップヌードル」など5商品で、2022年6月と23年6月の価格改定の際に、販売価格を自ら設定した上で小売業者にこの価格に従うよう要請していた。

通常販売では、他の業者にも同様の要請を行っていると伝えたり、受け入れるまで特売の条件が出せない旨を示唆するなどしていた。小売業者が行う特売日にも、提示した価格以上で販売するよう求めていた。

多くの業者が日清側の要求を受け入れたことで「結果として、小売業者が示し合わせて値上げのカルテルが行われたのと同じ状況が発生した」(公取委・近畿中国四国事務所の山本大輔審査統括官)という。

公取委によると、調査の過程で小売業者からは、日清食品のような手法は「珍しくない」との声が出ていた。食品の値上げが続く中、業界全体に対して警鐘を鳴らす意味で警告に踏み切ったとしている。日清食品に対し、自社が希望する価格での販売要請をやめるとともに、再発防止を求めていく。

日清食品は同日、「今回の警告を重く受け?め、法令遵守の体制をより強固なものにするべく改善に取り組んでいく」とのコメントを発表した。

エコノミストからは、今回明らかになった不公正な値上げが、日銀の物価目標達成の観点からネガティブに働きかねないとの声が出ている。

みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介主席エコノミストは、原材料高に伴う値上げに消費者の理解が進んできた中でこうした問題が発覚したことは値上げに対する「不信感」を強め、物価は上がらないものだとする「ノルム(社会的な規範)」の変化に水を差してしまうと懸念する。

実質賃金の改善ペースが緩やかで家計の節約志向も高止まりしている状況下、企業としても「安売りのものと高価格帯で攻めるもの」といった形で品目別に価格戦略を練る動きが広まるとみられると指摘。高価格商品では、消費者が値上げを受け入れられるだけの付加価値の向上がいっそう求められることになるとみている。

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