- 2024/08/21 掲載
カナダ鉄道労使交渉、決裂で輸送停止なら北米の農産物供給網に支障
[シカゴ/オタワ 20日 ロイター] - 大詰めを迎えているカナダ鉄道大手2社の労使交渉が決裂して同国内の鉄道貨物輸送が全面的に停止すれば、北米の農産物サプライチェーン(供給網)に支障を来すことになりそうだ。
鉄道大手カナディアン・ナショナル鉄道(CN)とカナディアン・パシフィック・カンザスシティ(CPKC)両社は労使交渉が合意に至らなければ、現地時間22日午前零時にほぼ全ての貨物輸送を停止する。
カナダはキャノーラ(菜種)とポタッシュ(カリウム肥料)の世界最大の輸出国で、小麦の輸出では世界第3位。
北米の30を超える農業団体は米国とカナダの両政府に連名で書簡を送り、輸送停止を回避するための措置を要求。「ストライキの影響は特にカナダと米国双方のコモディティー輸出業者に深刻な打撃をもたらす。多くの農産物輸送業者にとってトラック輸送は実行可能な選択肢ではないためだ」と訴えた。
全米穀物飼料協会(NGFA)のチーフエコノミスト、マックス・フィッシャー氏は、鉄道貨物輸送が停止すれば、ミネソタ、ノースダコタ、サウスダコタ各州からカナダ太平洋沿岸北西部への米国産春小麦の輸送が止まることになると話した。
米政府によると、CPKCはノースダコタ、サウスダコタ、ミネソタ各州から穀物をカナダ経由で西海岸の輸出ターミナルへ輸送している。
輸送業者はまた、米国産トウモロコシを原料とする製品のカナダへの輸出についても懸念している。カナダは昨年、米国産エタノールの最大の輸出先だった。
米農務省によると、米国は昨年、282億ドル相当の農産物をカナダに輸出。カナダは中国、メキシコに次ぐ第3位の輸出先だ。
一方で米国は昨年、カナダから401億ドル相当の農産物を輸入。輸入元としてはメキシコに次ぐ第2位だ。
昨年に米国が輸入したポタッシュ1300万トンの約85%はカナダ産で、そのほとんどが鉄道で輸送された。
カナダの肥料業界団体ファーティライザー・カナダの広報担当者は、鉄道輸送される肥料は1日当たり平均で6万9000トンと指摘。鉄道輸送が停止すれば、肥料業界の1日当たりの収入が平均で5500万カナダドル(4034万米ドル)から6300万カナダドル程度減少するとの推計を示した。
カナダの食肉・豚肉業界団体は、一部の食肉処理工場は鉄道輸送停止に伴う週当たりの損失を最大300万カナダドルと見込んでいると話した。
オンタリオ州の農業団体グレイン・ファーマーズ・オブ・オンタリオの最高責任者、クロスビー・デビット氏は、日本を主な輸出先とする同州産大豆の輸出市場の動きは収穫直前に完全に止まってしまうことが懸念されると述べた。
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