- 2024/08/20 掲載
銀行業界も脱・年功序列=「役割」重視、中途採用拡大
大手銀行が年功序列からの脱却を図っている。デジタル化などで業務が多様化する中、業界の垣根を越えて人材の獲得競争が激化していることが一因だ。各行は勤続年数よりも、担う役割を重視した給与体系に移行。中途採用も大幅に増やしている。入行後は支店長を目指し、50歳前後で外部に出向・転籍するといった従来の銀行員像は崩れつつある。
みずほフィナンシャルグループ(FG)は7月、人事制度を刷新。ポストごとに付与した等級に基づき支払う「役割給」に給与を一本化し、年齢や年次にかかわらず昇進・昇給できるようにした。銀行、証券などグループ内の待遇格差も解消し、社員自らが望むキャリア展開を後押しする。木原正裕社長は「働きがいを感じ、挑戦へのモチベーションも上がる」と強調する。
三井住友銀行も2026年からの新制度導入を検討する。年次に基づく「階層」を反映した給与を廃止。51歳を過ぎると重要な管理職に就く行員以外の給与を一律に引き下げる仕組みも、撤廃する方向だ。給与は任される役割に応じて変わり、実績を上げれば20代で年収2000万円超も可能になるという。
各行が「役割」を重視するのは、「デジタル化やリスク管理など専門性が求められる業務が増えている」(業界関係者)という事情もある。従来の画一的人事では対応できないほど業務は多様化し、必要な専門人材の他業界との競合も高まっている。
5年前に勤続年数加算を廃止し、職責重視の給与体系に移行している三菱UFJ銀行は今年度、行員が自ら選んだ分野で異動なく働き続けられる制度も導入した。給与は各自の市場価値も考慮して決める仕組みで、専門人材育成を促す狙いだ。
各行は即戦力人材の確保も急ぐ。三菱UFJは昨年度、前年比2.4倍の338人を中途採用。今年度は新卒(400人)を上回る600人に増やす計画だ。三井住友も昨年度、中途採用を207人に倍増。みずほ(FG、銀行、信託)は新卒(437人)を超える555人を採用し、今年度も400人超を見込む。
【時事通信社】 〔写真説明〕三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行の看板=4月20日、東京都江東区
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