- 2024/08/20 掲載
インタビュー:EVは30年に新車の3割超へ、日本勢も競争力強化を=テラチャージ社長
[東京 20日 ロイター] - 電気自動車(EV)充電インフラ事業のテラチャージ(東京・港)の徳重徹社長はロイターとのインタビューで、2030年には世界新車販売の3割超をEVが占めるとみて、中国メーカーなどが台頭している東南アジアで事業を強化する方針を明らかにした。日本勢はこのままでは中国勢にシェアを侵食されると警鐘も鳴らした。
同社はテラモーターズとして10年に創業し、11年に出井伸之元ソニー会長、辻野晃一郎元グーグル代表らが出資。22年にEV充電インフラ事業を始め、昨年には大阪ガス、東京センチュリーなどの出資も受け、今年2月に社名変更した。
徳重氏は、新車に占めるEVの割合は「3、4、5割と30年に向けて増えていく。東南アジアでは間違いなく3割超になる」との見通しを示し、日本やインド、タイに続き、インドネシアでも「事業を本格化させる」と語った。すでに集合住宅など約100カ所の受注があり、同社は20日に現地で事業展開について会見する。
タイやインドネシアの自動車市場におけるシェアはかつて日本勢が9割を占めたが、昨今は中韓勢のEVが台頭し、徐々に低下している。インドネシアでは電池の主要原材料のニッケルが採れるため、政府が採掘から車両組み立てまで一気通貫のEV生産を目指しメーカーの誘致を強化。中国EV最大手BYDが今年販売を始め26年には現地生産を計画するほか、ベトナム新興企業のビンファストなども進出を検討している。
アジアの車両輸出拠点であるタイもインドネシアに対抗すべくEVの普及に積極的で、BYDが生産拠点を構えるなど中国企業が相次ぎ進出を表明している。
徳重氏は、中国製EVは経済的で機能や内装も評価されており、若年層を中心に「日本車の方が信頼が厚い、中国車だから(品質が)悪いという以前の感覚はもう薄れている」と指摘。中国車以上の機能を備えた手ごろな価格のEVを投入しなければ日本勢はさらに後れを取ると警戒感を示し、現地生産も含め展開を急ぐ必要があると述べた。
充電器については、EVの成長が足元で鈍っていても設置が「遅れているということはない」とし、日本勢がコスト力のあるEVを投入すれば競争環境も変わるとして、トヨタ自動車が26年に発売する予定の次世代車などに期待を示した。
株式上場に関しては「上場しなくても(資金は)集まる。今は上場を考える時期ではなく、トップに立つことが重要だ」とした。インタビューは16日に行った。
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