- 2024/08/20 掲載
「原チャリ」惜しむ声=環境規制で存続厳しく―小型・軽量の入門バイク
「原チャリ」の愛称で親しまれてきた原付き1種(排気量50cc以下)の生産継続が環境規制強化のため難しくなり、利用者から惜しむ声が上がっている。各メーカーは出力を抑制した125cc以下の「新基準原付き」や小型電動バイクなどの代替商品を用意しているが、小型・軽量の入門バイクを懐かしむライダーは少なくない。
「50ccはエンジン音が魅力。なくなるのは寂しい」。東京都足立区などでバイク店を経営する新保幸夫さん(44)は、高校入学と同時に6万円で中古のヤマハ発動機の「ジョグ」を購入し、仲間とのツーリングを楽しんだ。店舗には今も30年前の車種が修理に持ち込まれることがあるといい、「生産終了後も50ccに乗り続けてほしい。修理などのサポートは続けていく」と話す。
2022年にホンダ「スーパーカブ」で日本を一周したSNS発信者の「たぴこ」さん(26、氏名非公表)は、「ゆっくり走って好きな所で止まれる」原付きの特性を生かして現地の人と交流しながら旅を続けた。「カブのおかげでいろいろな人に出会えた。この経験が若い人に受け継がれないのは悲しい」と残念がる一方、「カブは頑丈だから一生乗り続ける」と決意する。
原付き1種の存続が難しくなったのは、25年11月に予定される排ガス規制強化のためだ。政府は現在、制度改正に向けて詳細を詰めているが、排気量が小さい50ccは規制をクリアするのが難しく、主要メーカーは順次新車の生産を終え、新基準原付きなどにシフトする方向。
ただ、新保さんは「原付きに比べ、新基準原付きは車体が大きく、電動バイクは値段が高い」と指摘し、代替できるか疑問視する。
環境省の担当者は「大気環境を良くするためだ。今乗っているバイクに影響はないので大切に乗り続けてほしい」と理解を求める。二輪事業を所管する経済産業省も「環境規制を守りながら、原付きの良さも維持できるよう制度改正を進める」(関係者)方針だ。
【時事通信社】 〔写真説明〕経営するバイク店で商品の原付きバイクと写真に納まる新保幸夫さん(左)=8日、東京都足立区 〔写真説明〕ホンダの原付き「スーパーカブ」で日本を一周したSNS発信者の「たぴこ」さん=2022年、大阪市(本人提供)
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