- 2024/08/19 掲載
米メディア3社スポーツ配信合弁計画を差し止め、独禁法違反の恐れ
[16日 ロイター] - ウォルト・ディズニーやFOXコーポレーション、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの米メディア大手3社が計画するスポーツ配信の合弁を巡る訴訟で16日、東部ニューヨーク州の連邦地裁は原告側の訴えを認め、反トラスト法(独占禁止法)に違反する可能性があると判断し、計画の差し止め(一時的な停止)を命じる判決を言い渡した。3社は不服として控訴する方針を表明した。
訴えていたのは米スポーツ専門配信サービスのFubo(フボ)。2月に提訴していた。
差し止めを命じられたのは、大手3社のVenu Sports(ベニュー・スポーツ)設立計画で、テレビで試合観戦をしない若いスポーツファンの取り込みを狙っている。1つのアプリで何千ものプロや大学のスポーツの生中継を視聴できる。営業開始は今秋を予定している。
判決は、Fuboの訴えに沿って、合弁が認められた場合の消費者の不利益に言及。各種のスポーツ中継番組は有料で視聴したい消費者にとって、余計な娯楽番組の代金を払いたくないのに、ベニュー以外に視聴契約の選択肢がなくなる恐れがあると指摘した。
その上で、判決は大手3社が競合企業の市場参入を阻止するため、スポーツ放送権を「ほぼ独占的に支配する」ことが可能になるとの判断を示した。さらに、3社が「少なくとも今後3年間、ベニューに似た別のプラットフォームは支えないと明確に合意した」と付け加えた。
マーガレット・ガーネット裁判官は「Fuboは差し止め命令がなければ契約者喪失に追い込まれ、恐らくその後に経営破綻や上場廃止、事業崩壊しそうなことを明らかにした」と原告側の主張を認めた。
この訴訟の背景にあるのはプロスポーツの放映権を巡る経費が上昇し続けていることだ。依然として視聴者が非常に多く、広告需要も強いためだ。例えば、米プロバスケットボール協会(NBA)は770億ドル相当の11年間の放映権契約を結んだ。メディア企業は経費を賄う一環として、テレビでなくインターネット動画を選ぶような視聴者を新たに契約者として引き寄せようとしている。
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