- 2024/06/26 掲載
超富裕層への国際課税議論、10億ドル超資産に年2%が起点=経済学者
[ブラジリア 25日 ロイター] - 超富裕層に対する国際課税ルールを議論する上で出発点となるのは、10億ドルを超える資産に対する年間2%の税率導入だ──。フランスの経済学者ガブリエル・ズックマン氏は、25日に公表したリポートでこうした見解を示した。
このリポートは、7月に開催する20カ国・地域(G20)財務相・総裁会議においてこの問題を議論するために提示する目的で議長国ブラジルが委託し、作成された。
リポートは1987年から2024年までに世界で最も富裕な0.0001%の層の平均資産額の増加率が、物価調整後ベースで年間約7%と、世界全体の平均資産増加率の3%を大きく上回っている点に言及。「大富豪と彼らが所有する事業はグローバル化の多大な恩恵を享受してきた。これが現行の税体系で適切にそうした利益の分配がなされているか、あるいはごく一握りの人々に利益が集中していないかとの疑問をもたらしている」と指摘した。
ズックマン氏によると、提案した国際課税ルールが実行されれば、世界中の約3000人から年間で2000億ドルから2500億ドルもの税収が得られるほか、対象を資産1億ドル超に広げれば、さらに年間1000億ドルから1400億ドルの税収が生み出されるという。
ズックマン氏はリポートに「この青写真の目標は政治的な議論のたたき台を提供し、話し合いを終えるのではなく始めることにある。具体的にどのような税制を実施するかは民主的な検討作業や選挙を通じて人々が決めることになる」と記した。
またズックマン氏は記者会見で、多国籍企業の利益に対する国際的な最低税率に合意するまで9年を要した点を引き合いに出し、超富裕層向け課税ルールはそれより早く実現するのではないかとの期待を示した。
こうした提案についてブラジルのほか、フランス、スペイン、コロンビア、ベルギーと、来年G20議長国となる南アフリカが賛成している。
ただドイツのリントナー財務相は国際課税の分野に新たな検討項目を設けることには極めて懐疑的なほか、イエレン米財務長官は国際的な富裕層課税を米国は支持できないと表明している。
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