- 2024/06/07 掲載
日銀会合、国債買い入れ減額の議論進展が焦点 市場動向も見極め
[東京 7日 ロイター] - 日銀が13、14日に開催する金融政策決定会合では、国債買い入れ減額について踏み込んだ議論がなされるかが焦点となる。日銀内では、債券市場の予見可能性を高めるうえで新たな指針を示すべきとの意見がある一方、買い入れ減額はより時間をかけて行うべきとの声もある。
<予見可能性>
3月の決定会合後、初の減額となった5月13日の買い入れを受け、市場では日銀の国債買い入れ減額を巡る思惑が高まった。5―10年を500億円減額したことで、今後の買い入れへの不透明感が台頭、10年金利が上昇し、日銀が6月の決定会合でより踏み込んだ減額方針を決めるかに注目が集まっている。
日銀では、予見可能性の観点から早期に国債買い入れの減額を決めることに前向きな声が出ている。10年金利は今週に入って低下が続き、5日には1%を割り込んだ。債券市場が落ち着いた状況を続ければ、6月の決定会合で国債買い入れの減額を決めることも可能との指摘が一部に出ている。
半面、慎重に市場動向を見極める必要があるとの声も出ている。国債の買い入れ減額は長期的な視点に立ってゆっくり進めるべきで、6月会合で決めるのは拙速ではないかとの指摘がある。7日には米5月雇用統計が発表されるほか、11―12日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。
植田和男総裁は6日、参院・財政金融委員会で国債買い入れについて「3月の金融政策の枠組み変更後の金融市場の状況を確認しているところだ」と述べた上で、「今後、大規模な金融緩和からの出口を進めていく中で減額することが適当だ」とした。
<減額は緩やかなペースで>
日銀の保有国債は3月末時点で589兆6634億円で600兆円に迫る。国債の買い入れ減額を決める場合でも、国債保有額の長期的な着地点を具体的に示す可能性は低い。異次元緩和を始める前に比べ、明らかに大きくなった規模をどこまで減らせば物価などとの関係で適正なのか、一義的にはわからないといった声が出ている。
国債買い入れの減額を決める場合には、保有額のネットの減少ペースではなく、現状のように月額の買い入れ額を数値で示すべきだとの声がある。米連邦準備理事会(FRB)はバランスシートの月間縮小ペースをあらかじめ定めて実行しているが、日銀は国債の半分を保有しているため、機械的に減少を進めるのはなじまないとの声が聞かれる。市場動向や国債の需給を見ながら、緩やかなペースで減額するのが適切だとの指摘が多い。
その場合も、声明文では、長期金利の急激な上昇に対しては毎月の買い入れ予定額に関わらず機動的にオペを実施する旨の文言が引き続き入る可能性が高い。
氷見野良三副総裁は4日、都内で行われたイベントで、日銀が依然として債券市場に深く関わっている現状を踏まえれば「非連続・不測の変化は避けないといけない」と話した。
減額する場合でも、手法はさまざまで議論はまだ収れんしていないとみられる。日銀の市場調節の柔軟性を確保するため、当面の買い入れ額を示すにとどめ、将来的な減額の全体像は示さず、市場動向や国債の需給を見ながら改めて議論する方針を示すことも考えられるという。
PR
PR
PR