- 2024/05/24 掲載
全国コアCPI4月は+2.2%、2カ月連続で伸び縮小 食料品が鈍化
Takahiko Wada
[東京 24日 ロイター] - 総務省が24日に発表した4月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は107.1で、前年同月比2.2%上昇した。日銀の2%目標を引き続き上回っているものの、伸び率は2カ月連続で縮小した。4月に一部の飲食料品で値上げがみられたが、値上げ幅は緩やかで、生鮮食品除く食料の伸び率が一段と縮小した。
ロイターがまとめたコアCPIの民間予測も2.2%上昇だった。
宿泊料の伸び率縮小でサービス価格の上昇率は2%を下回った。専門家からは春闘の高い賃上げ率のサービス価格への波及は5月から8月ごろに徐々に出てくるとの見方が出ている。
生鮮食品を除く食料は3.5%上昇と、前月の4.6%上昇を大きく下回った。伸び率縮小は8カ月連続。帝国データバンクによると、主要な食品メーカー195社における家庭用を中心とした4月の飲食料品の値上げは2806品目で、前年同月の5404品目の約半分にとどまった。総務省の担当者は「昨年4月と比べると、上昇幅は緩やかになっている」と述べた。
宿泊料は18.8%上昇で、前月の27.7%上昇を大幅に下回った。前年同月は政府の全国旅行支援の適用日数が少なく、実施する自治体も少なかったことで宿泊料が高めに出ていた。
一方、エネルギー価格は0.1%上昇と、前月の0.6%下落からプラス圏に浮上した。2023年1月以来。資源価格上昇の影響で、都市ガス代の下落率が5.9%と前月の10.1%から大きく縮小した。
4月の東京都区部CPIでは、東京都の高校授業料の実質無償化が大幅な下押し要因となった。しかし、総務省によれば全国コアCPIへの影響は0.06%ポイントの下押しにとどまった。
コア対象522品目のうち、上昇は419、下落は71、変わらずは32。
生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は2.4%上昇と、前月の2.9%上昇を下回り、22年9月以来の低い伸び率。
<高い賃上げ率、サービス価格への波及は5―8月か>
4月CPIで、サービス価格は1.7%上昇と前月の2.1%上昇から伸び率が鈍化した。宿泊料の伸び率縮小が要因とみられる。4月、宅配便大手が宅配料金を値上げするなどの動きが見られたものの、サービス価格について「満遍なく値上げが進む状況には至っていない」(みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介・主席エコノミスト)との指摘が出ている。
酒井氏は、春闘での高い賃上げ率のサービス価格への波及が5月から8月頃に徐々に出てくると予想。日銀が9月ないし10月に利上げするとの予想を現時点のメインシナリオとしている。
ただ、4月の金融政策決定会合後、植田和男日銀総裁が円安について「コミュニケーションの修正を行ってきている」と指摘。円安が基調的な物価上昇率に与える影響が過去30年、物価が上がらなかった時期と比べ大きくなっている可能性がある点も踏まえると「6月にタカ派的なトーンを出し、7月に利上げを行う可能性は否定できない」と話す。
植田総裁は8日の衆院・財務金融委員会で、足元で企業の賃金・価格設定行動がやや積極化していることを踏まえれば「過去の局面と比べて、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっているリスクがあることは意識しておく必要がある」と述べた。
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