- 2024/01/25 掲載
アングル:和らぐ米利下げ観測、来週のFOMCに注目
[ニューヨーク 24日 ロイター] - 一部の投資家が今年の米利下げペースの予測を修正している。米経済が好調なことに加え、連邦準備理事会(FRB)当局者が早期利下げ観測をけん制していることが背景だ。
株式市場は最高値圏で推移しているが、影響は国債市場や為替市場に波及している。
好調な国内経済や利下げ時期についてFRBがどう考えているかは、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)でさらにヒントが示される可能性がある。
マネックスUSAの為替トレーダー、ヘレン・ギブン氏は「市場は昨年末、バラ色の眼鏡でFRBの動きを予想しているように見えたが、新年に入り予想が修正され始めている」と指摘した。
市場は現在、最初の利上げが3月ではなく、5月になると予想。フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む3月利下げの確率は23日時点で41%と、1カ月前の88%から低下している。
昨年12月の小売売上高と消費者物価指数(CPI)は予想を上回った。市場は26日発表の12月の個人消費支出(PCE)価格指数に注目している。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのシニアエコノミスト、ブライアン・ローズ氏は「経済成長と賃金上昇の力強さを考えると、FRBは中期的なインフレ見通しを懸念せざるを得ない」と述べた。
昨年終盤は株高と債券利回りの急低下を背景に金融環境が急激に緩んだ。
一部の市場関係者は、債券利回りの低下が続けば、金融環境が過度に緩み、FRBがインフレ再燃を防ぐため、高金利の維持を迫られる可能性があると指摘している。
ゴールドマン・サックスの金融環境指数は99.39。昨年12月下旬に記録した16カ月ぶりの低水準(99.21)を大幅には上回っていない。
コメリカ・ウェルス・マネジメントのジョン・リンチ最高投資責任者(CIO)は23日付のリポートで「現在の経済情勢は、過去の利下げを促した経済情勢とは大きく異なる」と述べた。
足元の国債利回りは、予想を上回る経済指標を受けて上昇。10年債利回りは4.1397%と、昨年12月の低水準を約35ベーシスポイント(bp)上回っている。予想される国債増発も利回りの上昇要因だ。
米国債利回りの上昇を受けて、ドル指数は今年2.3%上昇。1カ月ぶりの高水準となっている。昨年12月は5カ月ぶりの低水準まで下げていた。
一方、株価は値上がりが続いているが、1月に入り騰勢は鈍っている。S&P総合500種指数は今月に入り1.7%上昇。昨年12月は4.4%値上がりしていた。人工知能(AI)に対する期待などを背景に大型ハイテク株や成長株が買われている。
だが、ドイツ銀行のアナリストは「良いニュースは織り込み済みで、金融環境も緩和的な水準にある。現在の楽観論を長期間維持するのは難しいかもしれない」と指摘した。
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