• 2023/12/21 掲載

EU財務相、財政ルール緩和で合意 債務削減に時間的猶予

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Jan Strupczewski

[ブリュッセル 20日 ロイター] - 欧州連合(EU)財務相は20日、財政ルールの見直しで合意した。公的債務削減に時間的猶予を設けたほか、財政再建中であっても公共投資を促進する措置を盛り込んだ。

加盟国の財政赤字と債務に上限を設けるEU「安定・成長協定」の4回目の改革となり、財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以内に抑えるというルールについて、想定外の事態が起きた場合に3%をすぐ超過しないよう1.5%を目指すべきと定めた。ドイツなど緊縮派の加盟国に配慮した格好となった。

一方で、従来は債務の対GDP比率が上限の60%を超えている高債務国に超過分の20分の1を毎年削減するよう求めていたが、新たなルールでは毎年GDP比1%を最低限削減するとした。イタリアは従来GDP比4%相当の債務削減が求められていたため、規律緩和となる。

新たなルールは2025年から4─7年かけて緩やかながらも着実に財政赤字と債務を削減する道筋を描いており、EUの優先分野で改革や投資を行う加盟国は削減期間を延ばすことが可能になる。

削減期間を7年に延ばすには、EUの新型コロナウイルス禍からの復興計画の下で既に合意済みの改革と投資で十分だとしていたイタリアの主張が受け入れられた。

同国のジョルジェッティ経済財務相は「復興計画に絡む投資と連動した計画の自動延長を求めたわれわれの当初の要請が受け入れられたことを前向きにとらえる」と述べた。

フランスが要求した、財政赤字がGDP比3%超の国に27年まで利払いを削減対象から除外する案でも合意がまとまった。

新ルールはさらに、防衛費について特別の扱いをすることを盛り込み、構造的赤字や財政赤字ではなく、各国政府の直接管理下にある純支出に焦点を当てるとした。

合意内容は欧州議会での審議を経て法制化される見通し。大幅に内容が修正されることはないとみられる。

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