- 2023/12/21 掲載
日銀「出口」観測が後退=金利急低下、株大幅高―東京市場
日銀の大規模金融緩和が早期に「出口」に向かうとの観測が市場で後退している。植田和男日銀総裁が19日の記者会見で、早期の政策修正に慎重な姿勢を崩さなかったためだ。年明けにもマイナス金利解除に踏み切るとの思惑は肩透かしを食らった格好で、20日の東京市場では金利が急低下。株価は大幅高となった。
マイナス金利解除観測が浮上したのは、植田総裁が7日に国会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言したのがきっかけだ。しかし、植田総裁は19日、「今後の仕事の取り組み姿勢について、一段と気を引き締めてというつもりだった」と説明。政策修正を巡っても、「賃金と物価の好循環が強まるか、なお見極める必要がある」などと慎重な見解を繰り返した。
解除時期を探ろうとしていた市場は、総裁会見を「ゼロ回答」(国内証券)と受け止めた。20日の債券市場では長期金利が急低下。指標となる新発10年物国債の流通利回りは一時、前日に比べ0.085%低下(債券価格は上昇)の0.550%と、7月28日以来約5カ月ぶりの低水準となった。株式市場では、金融引き締めを急がない日銀のスタンスが好感され、日経平均株価は一時600円を超える上昇を演じた。
岡三証券の長谷川直也債券シニアストラテジストは総裁会見について、「来年1月会合でのマイナス金利解除の可能性は否定しなかったが、(タイミングが)これまでよりも大きく近づいているような印象は与えなかった」と指摘した。
【時事通信社】
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