- 2023/12/21 掲載
ダイハツ、不正を30年以上放置=顧客軽視の代償大きく
ダイハツ工業の認証試験不正が、国内向けの全車種に拡大した。開発スピードが重視される中、「(試験の)不合格は許されない」との強烈なプレッシャーが、従業員を不正に走らせた。最も古い事案は1989年と、30年以上にわたり放置していた実態も明らかになった。安全性を確認するはずの試験データの改ざんという顧客軽視の代償は大きく、経営に深刻な打撃となるのは必至だ。
「全ての責任は経営陣にある」。ダイハツの奥平総一郎社長は20日の記者会見で、不正を陳謝した。第三者委員会の報告書は、現場を見ようとしない役員と従業員の間の乖離(かいり)に加え、失敗を激しく叱責したり、非難したりする組織風土にも問題があると指弾した。
不正のうち、ダイハツの軽自動車「キャスト」とトヨタ自動車ブランドで販売する軽自動車「ピクシスジョイ」については、側面衝突試験で、集中ドアロックが全て閉まって外から開放できないことが判明。法令基準に適合しない可能性があり、対応が急務だ。国土交通省は21日、立ち入り検査に入るが、調査の行方次第では問題が長期化する懸念もある。
会見で経営陣は、全車種の出荷停止がいつまで続くかの明言を避けた。国交省が出荷に必要な型式指定を取り消す可能性について、奥平社長は「法律で、不正な手段で入手した(型式)指定は取り消すことができるとある。状況を考えると大変深刻な状況だ」と顔を曇らせた。
不正の再発防止へ、組織風土の見直しといった根本的な経営改革は不可避。加えて出荷停止に伴い、国内423社に上る部品の仕入れ先企業への補償も求められるなど課題は山積している。
トヨタグループでは、日野自動車でもエンジンの認証不正がまん延した。自動車業界の開発競争が激しさを増す中、コンプライアンス(法令順守)強化が厳しく問われている。
【時事通信社】 〔写真説明〕ダイハツ工業の試験認証不正に関して会見する奥平総一郎社長(左)。右はトヨタ自動車の中嶋裕樹副社長=20日午後、東京都文京区
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