- 2023/12/21 掲載
東電、収益力の強化急務=賠償費用増大、見えぬ再稼働―柏崎原発
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)について、原子力規制委員会が20日、運転禁止命令を解除する方針を決めた。再稼働が実現すれば東京電力ホールディングスの収支は改善するが、再稼働には地元自治体の同意が必要で時期は見通せない。福島第1原発事故を巡る賠償負担が増大する中、収益基盤の強化が急務となる。
東電は経営計画で、年5000億円程度の賠償・廃炉費用を確保した上で、年4500億円規模の利益の創出を掲げる。しかし、液化天然ガス(LNG)など火力発電燃料の価格高騰が響き、純利益の直近5年間の平均は700億円程度にとどまる。
原発事故の処理費用を巡り、政府は15日、これまでより1.9兆円増え総額23.4兆円に達するとの試算を明らかにした。賠償費用が基準見直しや処理水放出による風評被害の影響で増えるためだ。
東電は今年6月に家庭向け規制料金を引き上げた際、原価の算定に当たって柏崎刈羽原発7号機が10月に、同6号機が25年4月に再稼働するとの前提を置いた。同原発が再稼働した場合、1基当たり年1200億円の収支改善効果と東日本地域の電力供給力拡大が見込まれるが、再稼働時期は見通せない。東電には、脱炭素投資や事業再編などによる経営改革の実行が引き続き求められる。
【時事通信社】
PR
PR
PR