• 2023/12/16 掲載

NY市場サマリー(15日)ドル上昇、株価小幅続伸 利回り上昇

ロイター

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<為替> ドルが上昇した。米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が市場の利下げ期待をけん制したことを受けた。ただ、週間では1カ月ぶりの大幅な下げとなった。

ウィリアムズ総裁は15日、連邦準備理事会(FRB)の利下げについて語るのは時期尚早と述べ、市場で高まっている利下げ観測をけん制。FRBは引き続き、インフレ率の2%回帰に向け金融政策が正しい道筋をたどっているか否かに焦点を当てていると述べた。

市場では積極的な利下げ期待が織り込まれており、来年3月に利下げが開始され、12月までに141ベーシスポイント(bp)の利下げが実施されると見込まれている。

米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は15日、インフレ率が予想通り低下すれば、2024年の「第3・四半期には」FRBは利下げを開始できると述べた。

米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は、インフレ率が目標の2%に戻りつつある中、FRBは政策の焦点を物価から雇用に移す必要が出てくる可能性があるとの考えを示した。

FRBが15日発表した11月の鉱工業生産指数は、製造業の生産指数が0.3%上昇となった。全米自動車労働組合(UAW)のストライキ終結を受け、自動車生産台数が部分的に回復したことが寄与した。ただ、他部門は低調で、エコノミスト予想0.4%上昇には届かなかった。

ドル指数は前日比0.56%高の102.52。前日には101.76まで下落し8月10日以来の安値となった。週間では1.39%安と11月19日以来の大幅安を記録した。

ユーロ/ドルは0.83%安の1.0899ドル。前日には1.1009ドルと11月29日以来の高値を付けた。ポンド/ドルは0.60%安の1.2690ドル。前日には1.2793ドルと8月22日以来の高値を付けた。

S&Pグローバルがまとめた12月のユーロ圏のHCOB総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は47.0と、前月の47.6から予想外に低下したこともユーロを押し下げた。

ドル/円は0.24%高の142.18円。前日には140.95円と7月31日以来の安値を付けた。週間では1.94%安と7月14日以降で最大と下げとなる勢い。

暗号資産(仮想通貨)では、ビットコインが2.1%安の4万2130ドル。

<債券> 短期債を中心に国債利回りが上昇した。連邦準備理事会(FRB)当局者の発言を受け、早期の利下げ観測が後退した。

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は「現時点では、われわれは実際に利下げについて話し合っていない」とし、利下げについて推測するのは「時期尚早」と指摘。アトランタ地区連銀のボスティック総裁は、インフレ率が予想通り低下すれば、2024年の「第3・四半期」には利下げを開始できると述べた。

LSEGのフェドウオッチによると、金利先物市場が織り込むFRBが来年3月に利下げに着手する確率は70%以下と、前日の80%から低下した。

10年債利回りはウィリアムズ総裁の発言を受け、3.973%まで上昇。その後は上げ幅を縮小し、終盤の取引で1.5ベーシスポイント(bp)低下の3.912%。

30年債利回りもウィリアムズ総裁の発言を受け上昇。ただ、終盤の取引では4.5bp低下の4.00%。

週初からの低下幅は、10年債利回りが約34bp、30年債利回りが32bp。1週間の低下としては共に2020年3月以来の大きさとなる見通し。

2年債利回りは4.487%まで上昇。終盤の取引では6.1bp上昇の4.459%。週初からは26bp低下した。

2年債と10年債の利回り格差はマイナス54.80bpに拡大した。

この日発表の経済指標は、米S&Pグローバルの12月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値が51.0と11月の50.7から上昇し、5カ月ぶりの高水準。FRBの11月の鉱工業生産指数は製造業の生産指数が0.3%上昇した。

<株式> 小幅続伸して取引を終えた。S&P総合500種は2017年以来最長となる7週連続の上昇を記録した。

米連邦準備理事会(FRB)のハト派転換の影響はこの日も続いたが、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が利下げ観測をけん制したことで、楽観的な見方が一部後退した。

金利に敏感な不動産セクターと公益セクターがそれぞれ1%超下落し、これまでの大幅上昇の一部を吐き出した。

ダウ工業株30種はこの日、3営業日連続で過去最高値を更新。半導体指数は週間で9.1%高となり、5月以来の大幅上昇を記録した。

週間では、ダウは2.9%上昇、ナスダック総合は2.8%上昇、S&P500は2.5%上昇した。

この日はまた、クアドルプル・ウィッチング(先物・オプション取引の期限集中日)に当たっていた。このため出来高は多く、米取引所の合算出来高は197億6000万株に上った。直近20営業日の平均は118億株。

個別銘柄では、コストコ・ホールセールが4.4%上昇。第1・四半期の業績が市場予想を上回った。

<金先物> 対ユーロでのドル高を受けて売りが先行し、3営業日ぶりに反落した。2月物の 清算値(終値に相当)は前日比9.20ドル(0.45%)安の1オンス=2035.7 0ドル。金相場は週間では1.05%高となった。

ニューヨーク連邦準備銀行のウィリアムズ総裁は15日、米CNBCテレビのインタビ ューに応じ、米連邦公開市場委員会(FOMC)で「すぐに利下げを行う議論はしていない」との認識を示した。利下げに消極的な発言と受け止められたことから、対主要通貨でドル買いが先行。ドル建てで取引される商品の割高感につながり、金は売りが先行した。 ただ、米国が利下げに踏み切るとの観測は根強く、相場の下値は限定的。

<米原油先物> 低調な米製造業関連指標の発表などが重しとなり、3日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.15ドル(0.21%)安の1バレル=71.43ドル。2月物は0.13ドル安の71.78ドルだった。

ニューヨーク連邦準備銀行が朝方発表した12月の同州製造業景況指数は、総合でマイナス14.5(前月は9.1)に沈み、新規受注の項目は3カ月連続で低下。また、11月の鉱工業生産指数、12月のS&Pグローバル製造業購買担当者景況指数(PMI)速報値もそろって市場予想を下回った。これらを眺めて石油の需要先細り懸念が強まり、売りが活発化。午前の相場は一時70.30ドル付近で取引された。

しかし、売り一巡後は下げ幅を縮小。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁はこの日朝、今週開催された連邦公開市場委員会(FOMC)について「すぐに利下げを行う議論はしていない」と発言し、同会合を受けた市場の反応は行き過ぎとけん制した。ただ、その後に米議会予算局(CBO)が公表した経済見通しでは「インフレは今後2年、鈍化を続け、連邦準備制度理事会(FRB)の目標の2%に近づく」との分析が示され、ウィリアムズ氏発言の影響を幾分緩和した。

ドル/円 NY終値 142.15/142.18

始値 141.73

高値 142.44

安値 141.44

ユーロ/ドル NY終値 1.0894/1.0897

始値 1.0968

高値 1.0969

安値 1.089

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 112*25.00 4.0122%

前営業日終値 112*00.00 4.0540%

10年債(指標銘柄) 17時05分 104*24.50 3.9148%

前営業日終値 104*20.50 3.9300%

5年債(指標銘柄) 17時05分 102*01.75 3.9140%

前営業日終値 102*02.50 3.9100%

2年債(指標銘柄) 17時05分 100*25.13 4.4490%

前営業日終値 100*28.25 4.3990%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 37305.16 +56.81 +0.15

前営業日終値 37248.35

ナスダック総合 14813.92 +52.36 +0.35

前営業日終値 14761.56

S&P総合500種 4719.19 -0.36 -0.01

前営業日終値 4719.55

COMEX金 2月限 2035.7 ‐9.2

前営業日終値 2044.9

COMEX銀 3月限 2415.4 ‐23.2

前営業日終値 2438.6

北海ブレント 2月限 76.55 ‐0.06

前営業日終値 76.61

米WTI先物 1月限 71.43 ‐0.15

前営業日終値 71.58

CRB商品指数 265.0660 +0.7576

前営業日終値 264.3084

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