- 2023/12/16 掲載
欧州中銀、利下げ議論「まだ」=市場けん制、米FRBと温度差
【ロンドン時事】欧州中央銀行(ECB)は14日の定例理事会で、政策金利を現行水準で据え置くことを決めた。市場の関心は利下げに移っているが、ラガルド総裁は「議論はしていない」と一蹴。2024年の利下げ加速シナリオまで提示した米連邦準備制度理事会(FRB)との温度差が際立っている。
「賃金や物価の上昇圧力は依然高いままだ」。ラガルド氏は理事会後の記者会見でこう述べた。その上で、インフレ率が短期的に再上昇する可能性があり、「警戒を緩めるべきではない」と強調した。最新のインフレ予測は25年が2.1%、26年は1.9%。25年までに2%とするECBの目標は、達成が若干厳しいとの認識も示した。
一方、14日に政策金利の据え置きを発表した英イングランド銀行(中央銀行)のベイリー総裁も、ハント財務相への公開書簡で、「インフレ率を目標の2%に戻すため、十分な期間にわたって高水準の政策金利を維持する」と改めて表明。ECBと同様に早期利下げ観測をけん制した。
市場ではこれまで、ECBは24年3月、イングランド銀は同年5月にも利下げを始めるとの見方が出ていたが、観測は後退した。INGのマクログローバル責任者、カールステン・ブレゼスキ氏は、ECBの声明から「インフレ率が高過ぎる状態が長く続く」との文言が削除された点に触れ、「少なくとも利上げの終わりが近づいていることは示唆された」と指摘した。
【時事通信社】
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