- 2023/12/15 掲載
アングル:米企業倒産、来年は金融緩和で勢い鈍化か
[13日 ロイター] - 米国は高金利を背景に年初来の企業破産申請件数が高水準となっている。しかし今後は米連邦準備理事会(FRB)が利下げに動くと予想されており、企業倒産の波は来年下半期にいくらか勢いが鈍る見通しだ。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、今年1―11月の米企業による破産申請件数は591件と、2020年以来の高水準。
B・ライリー・ウェルスのチーフ・マーケット・ストラテジスト、アート・ホーガン氏は「2008年に始まった超低金利の終焉で破産申請が再び増加したが、この流れは今後正常化する可能性がある」と述べた。
CMEグループのフェドウォッチによると、短期金融市場が織り込む5月の利下げ確率は75.3%。
もっとも、世界的な景気減速によって向こう1年間でさらに多くの倒産が発生する可能性があると、AJベルの財務分析責任者ダニ・ヒューソンは警鐘を鳴らす。
S&Pグローバルのデータによると、今年1―11月で最も倒産が多かったセクターは、家庭用雑貨販売大手ベッド・バス&ビヨンドなど小売業を含む一般消費財で、申請件数は76件。
デットワイヤのリストラクチャリング・データ担当グローバル・ヘッド、キャサリン・コリー氏は、「(倒産の面で)小売業は来年、特にホットなセクターになる」と予想。「新型コロナウイルスのパンデミック期に好況を呈した小売業者の中には、その後に経営が干上がったところが多くある」という。
アナリストの間には来年、M&Aが活発化するとの見方がある。
スパルタン・キャピタル・セキュリティーズのチーフ・マーケット・エコノミスト、ピーター・カーディロ氏は「企業買収が増加しており、これはもしかしたら一部の企業が今後不況に直面するのを避けるために買収されるのを望んでいることを示しているのかもしれない」と述べた。
S&Pグローバルによると、年初から12月5日までに発表されたM&A案件は1万3466件、総額1兆0383億ドル相当。22年の1万9192件、1兆3824億ドル相当に比べると、今年は全体的にM&Aが低調だった。
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