- 2023/12/15 掲載
仏EV補助金新基準は欧州車優遇、中国メーカーに逆風
[パリ 14日 ロイター] - 電気自動車(EV)購入時の補助金制度を改定したフランス政府は14日、新基準の導入を15日に控えて対象車種リストを発表した。製造時の炭素排出量に焦点を当て、中国で製造された車種よりもフランスなどの欧州車を優遇していることから、中国メーカーは大きな逆風になると不満の声を上げた。
適用はフランスで販売されるEV台数の65%に及び、欧米大手ステランティスの24車種とフランス大手ルノーの5車種がリスト入りした。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が率いる米テスラの「モデルY」も含まれる見通しだ。
中国大手の上海汽車(SAIC)傘下のMGモーターは、フランスのEV事業が悪影響を受けると反発した。世界的に販売に力を入れている「MG4モデル」を購入時補助金の対象車種として申請しないと決めたと明らかにした。ロイターに広報担当者は「販売競争力を完全に失いそうな車種が複数ある。(新基準は)われわれを排除するため編み出された」と述べ、怒りが収まらない。
ルメール経済・財務相は、商品の原材料調達から生産や処分までの間の温暖効果ガス排出量を二酸化炭素(CO2)の数値に換算する「カーボンフットプリント」に言及し、この補助金新制度がもたらす効果に大きな期待を表明した。声明で「われわれはCO2を過剰排出する車の生産にもはや補助金を支給しない」と言い切った。
リストアップ作業はフランス環境エネルギー管理庁(ADEME)が担い、EV約500車種とその派生車を調査した。
中国の自動車産業は石炭火力発電に大きく依存しており、今後は多くの中国製EVが対象外となる見通しだ。既に、ルノーの低価格ブランド「ダチア」は、中国から輸入しているEV「スプリング」がリストから外れた。テスラの「モデル3」は中国で製造されており、補助金対象にならない可能性がある。
フランス政府はEV普及策として既に年間総額10億ユーロ(11億ドル)の枠を設け、購入者に5000―7000ユーロを補助しており、今回はその改定となる。
財務省幹部によると、安価な欧州製EVがないため、従来の制度では補助金支給額の3分の1が中国製購入者に充てられていた。こうした傾向は、外国メーカー車の輸入急増と国内メーカーとの競争力格差の拡大に拍車をかけている。
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