- 2023/12/13 掲載
米国株、行使期限が迫る大量のオプション取引が変動を抑制
[ニューヨーク 12日 ロイター] - 米国株は過去最大級になるとみられるオプション取引の行使期限が迫っており、それがこのところの相場変動を抑制している。米連邦準備理事会(FRB)が13日に発表する連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けてボラティリティーが高まった場合、鎮静役に回ってもおかしくない。
デリバティブ取引の戦略や執行を手がけるマクロ・リスク・アドバイザーズ傘下のAsym500MRAインスティテューショナルによると、約5兆ドル規模の米国株オプション取引が15日に行使期限を迎える。
こうした状況により相場の変動が激しくなる場合もあるが、ストラテジストらの話では、今週の行使期限は相場の振れ幅を小さくする要因となる公算が大きく、株価がここ数週間にわたって狭いレンジで推移してきた理由の1つかもしれないという。
S&P総合500種は10月の安値から12.5%上昇、年初来では20.6%値上がりしている。だが最近では、相場の動きは抑えられている。
最近18営業日はS&P総合500種の変動率が連続で1%未満にとどまっており、こうした小幅な変動が続く期間としては8月上旬以降で最長となった。投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)は11.9と約4年ぶりの低水準を記録した。
また過去10営業日にわたるS&P総合500種のボラティリティーの実績は11月下旬に4.5まで下がり、直近では6.8となっている。銀行の経営破綻で相場が荒れた今年3月には22.5まで上昇していた。
株式相場の変動を抑えている要因の1つに、デリバティブ取引の買い手と売り手を仲介するオプションディーラーのポジョションが挙げられる。
野村の分析によると、インカムを生み出すためのオプション取引で権利を売る上場投資信託(ETF)の建玉規模は今年、約2倍に膨らみ、現在は約600億ドルとなっている。
こうしたETFのオプション取引で逆の立場となるオプションディーラーは取引のリスクを相殺するため、株価が上昇した際には株式先物を売り、株価が下落した際には株式先物を買う必要がある。市場関係者の話では、こうした取引には株価の変動を狭いレンジにとどめる効果がある。
野村のストラテジスト、チャーリー・マケリゴット氏は12日の顧客向け資料に、ディーラーのポジョションは「これから年末にかけて、大幅な相場下落を抑止する可能性が極めて大きい」と記した。
これから年末にかけて相場を大きく下げる要因には、13日のFOMC結果発表が含まれ得る。
FRBは今回、政策金利を据え置くと予想されているが、投資家は当局が早期の利下げへ向けて方針転換するかどうかを示す手掛かりに注目しており、こうした期待感が第4・四半期に相場を押し上げる要因となっていた。
オプション分析サービスを手がけるスポットガンマの創設者であるブレント・コチュバ氏は、行使期限の到来はオプション市場が株価を支配する力を緩める公算が大きいと指摘。同氏によると、市場は2年前にも同じような状況に直面し、当時も大規模なオプション取引の期限が迫る中で相場の変動が抑えられ、12月の行使期限到来後から年末までの2週間でようやく3%上昇したという。
関連コンテンツ
PR
PR
PR