- 2023/12/13 掲載
中国VC・PEファンドへの投資規制案が波紋、資金調達困難に
[上海/香港 12日 ロイター] - プライベートエクイティ(PE)ファンドやベンチャーキャピタル(VC)ファンドへの投資条件を厳格化する中国当局の提案が業界で波紋を呼んでいる。小規模ファンドが退出を迫られ、新興企業の資金調達が滞るとの懸念が高まっている。
中国証券監督管理委員会(CSRC)は8日に公表した規制案で、「適格投資家」がPEファンドやVCファンドへ投資する際の最低額を300万元(41万8731ドル)とし、現在の3倍に引き上げた。
資産の大半を特定の企業やプロジェクトに投資するファンドの場合、個人の最低投資額は従来の100万元から1000万元に引き上げられた。
チャイナ・ヨーロッパ・キャピタルのアブラハム・チャン会長は「新ルールは小規模ファンドへの死刑宣告だ。すでに厳しい冬を迎えている業界の苦しみが増す」と語った。
VC業界のベテランで北京潜力股科技の共同創業者Li Gangqiang氏は単一プロジェクトに投資するファンドや小規模投資家にとって極めて不公平とブログで指摘した。提案が現在の形のまま施行されれば、1000社以上のPEファンド運用会社が消滅するとの見方を示した。
証監会は小規模投資家を保護することが目的としているが、業界関係者からは逆効果になる恐れがあるとの声が聞かれる。
ニュー・アクセス・キャピタルのアンドリュー・チアン最高経営責任者(CEO)は「厳しい資金調達環境では傷口に塩を塗るようなものだ。ハイテク新興企業への政府支援にも逆行する」と述べた。
同氏はVCファンド、特に小規模投資家から資金を調達するファンドには大手PEファンドとは異なる規制が必要との見解を示した。
スタートアップ企業に出資するエンジェル投資は米国など海外では一般の人も可能だが、中国は扉を閉ざしていると指摘。「そうなれば資金調達はさらに難しくなる」と語った。
調査会社プレキンによると、中国専門の人民元建てPEファンドの今年の資金調達額は97億ドルと、少なくとも2010年以降で最低。昨年は337億ドル、21年は1166億ドルだった。
中国専門のバイアウトファンドは今年、いずれの通貨建てでも資金を調達していない。22年は2億1000万ドル、新型コロナウイルス流行前の19年は132億ドルだった。
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