- 2023/12/08 掲載
英規制当局、大手銀にプライベートクレジットについて報告要請
[ロンドン 7日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行、BOE)の健全性規制機構(PRA)はこのほど、プライベートエクイティ(PE)など非公開市場への与信、「プライベートクレジット」を活発に行う銀行に対し、詳細な与信実態の報告を求めた。このセクターを、金融システムにとって最大の脅威とみなしているため。事情に詳しい複数の関係者がロイターに明らかにした。
データ会社プレキンの推計では、世界のプライベートクレジット市場は2022年時点で1兆5000億ドル近くと、20年に比べて40%以上も膨らんだ。大半のプライベートクレジットには、企業に対する高利融資「レバレッジドローン」が絡んでいる。
関係者2人によると、PRAはプライベートクレジットおよびレバレッジドローンのリスクを認識しており、JPモルガン、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカなどの銀行に対し、年末までに顧客の詳細情報などを含む報告を上げるよう要請した。
銀行はリターン追求のためにPE関連の事業を拡大しているが、PE市場は不透明で、銀行のバランスシート上では与信の規模やリスクを把握しにくいと関係者の1人は説明した。
BOEは今週公表した金融安定報告で、プライベートエクイティやレバレッジドローンなどリスクの高い企業向け与信が「とりわけ脆弱」だと指摘し、不透明なため「英国でも、世界的にも監視が難しい」との見解を示している。
プライベートクレジットを手がける銀行は、発足間もない企業に変動金利で資金を貸し出す傾向があり、金利が上昇すると返済能力が脅かされる。このため、世界中の規制当局が懸念を表明するようになった。
スイスの銀行大手UBSのコルム・ケルハー会長は11月、プライベートクレジット市場で明らかに「資産バブル」が起こっていると警鐘を鳴らした。
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