- 2023/11/27 掲載
アングル:米株上昇、マグニフィセント7以外に広がり 年末ラリー期待も
[ニューヨーク 24日 ロイター] - 「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる超大型7銘柄に集中していた米国株の上昇が、より多くの銘柄に広がる兆しが生じており、「年末ラリー」への期待が高まっている。
S&P500種総合指数は11月に入って8%余り上昇し、年初来高値更新が目前に迫った。インフレ率が低下して連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止期待が広がり、米国債利回りが低下したことが要因だ。
現在の相場上昇は年末を控えた反発にすぎないとの見方もあるものの、これまで出遅れていたセクターが強含んでいるのは事実だ。
心強い兆候の一つとして、20日時点でS&P500銘柄の約55%が200日移動平均を上回って推移している。LPLファイナンシャルによると、50%を上回ったのはその前の週で、約2カ月ぶりの出来事だ。
同社のチーフ・テクニカル・ストラテジスト、アダム・ターンキスト氏は「ついに強気相場と言うにふさわしい水準まで上昇が広がりを見せ始めた」と述べ、このことが持続可能な相場回復の鍵を握っていると説明した。
もう一つの兆候として、単純平均のS&P500種指数が先週3.24%上昇した。時価総額に応じて加重平均した通常のS&P500種指数の上昇率の2.24%を大幅に上回っている。約5カ月ぶりの大幅なアウトパフォームだ。
ただ年初からの上昇率を見ると、単純平均S&P500はわずか3%と、加重平均指数の18%よりはるかに低い。このままだと、両者の差は25年ぶりの大きさとなりそうな情勢だ。
単純平均指数が出遅れている主因は、「マグニフィセント・セブン」7銘柄の突出した上昇ぶりにある。アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、テスラの7銘柄は、時価総額の合計がS&P500指数の28%を占める。今年約47%上昇しているナスダック100指数では、7社の割合が約50%と、さらに大きい。
だが10月の消費者物価指数(CPI)が前月比横ばいと発表されて以来、これまで低迷していた小型株と銀行株も強含んでいる。
CPI発表以来、小型株で構成するラッセル2000指数は5.5%上昇し、S&P500種銀行株指数は6.5%高と、S&P500種総合指数の3%高をしのいだ。
年初から現在までで見ると、ラッセル2000指数は2%高、S&P500種銀行株指数は6%余りの下落となっている。
エドワード・ジョーンズのシニア投資ストラテジスト、モナ・ジャハジャン氏は、幅広い相場上昇の環境が整いつつあると指摘する。
同氏は、「金利上昇が収まり、インフレが穏やかになり、FRBが様子見に入るという環境は通常、リスク資産にとって好都合だ」と説明。金利が低下を始める時には往々にして、特に大型ハイテク株以外の銘柄でバリュエーションの上昇が見られると語った。
エドワード・ジョーンズによると、単純平均のS&P500種指数の予想利益に基づく株価収益率(PER)は現在、過去10年の平均を5%下回っている。
もっとも、足元の相場上昇が、持続的で幅広い上昇につながらないと考える理由もある。
近く発表される消費者信頼感指数やインフレ関連指数が予想を上回れば、米国債が売られて利回りは上昇しかねない。
また、株価が急上昇した13―17日の週には、今年アンダーパフォームした小型銘柄を中心にコールオプションの需要が強かった。その一部は既に巻き戻され始めている。
投資家が年末に向けてポジションを閉じ始めるため、上昇は持続しないとの見方もある。UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのジェーソン・ドラホ氏は「好材料の多くは既に織り込み済みで、投資家は上値を追うのを渋るかもしれない」と語った。
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