- 2023/11/26 掲載
株主優待、復権の兆し=東証改革、新NISAきっかけ
企業が株主に自社の製品などを贈る「株主優待」に復権の兆しが見られる。近年は廃止が新設を上回っていたが、東証の改革や新たな少額投資非課税制度(NISA)をきっかけに、企業の姿勢が個人株主重視に変化。2023年度上半期は、廃止と新設がほぼ同数となった。
株主優待は個人投資家に人気が高く、優待がある企業を選んで株を買う人も少なくない。一方、優待制度は小口の株主に有利に設計されていることから、金融機関などの機関投資家からは「株主平等の原則に反する」「食品などをもらっても困る」と、廃止を求める声が高まっていた。
ところが野村インベスター・リレーションズ(東京)の集計では、23年度上半期に優待制度を新設したのは36社で、廃止は37社。その差は1社で、年間で廃止が新設を15~27社上回っていた20~22年度に比べ新設が増えた。
同社のアンケート調査では、優待制度の目的に「株価の上昇」や「出来高の増加」を挙げる企業が急増した。東証の市場改革で株価や流動性の向上に焦点が当たる中、担当者は「一つの施策として優待を新設・拡充した企業が現れている」と分析する。
良品計画やコジマなどは、来年1月開始の新NISAで投資家の裾野拡大が期待されることを踏まえ、優待制度を新設・拡充すると発表。大和総研の瀬戸佑基研究員は「新NISAを見据えて新設する企業も増えつつある」と指摘する。消費者に対して事業を展開する企業を中心に株主優待は継続しそうだ。
【時事通信社】 〔写真説明〕東京証券取引所=東京都中央区
PR
PR
PR