0
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
不正アクセスにより、年金に関する個人情報約125万件が外部に流出した日本年金機構。流出したとみられるのは基礎年金番号や氏名、生年月日、住所などで、職員にあてられた標的型メール(ウイルスが組み込まれたメール)を不用意に開き、情報が流出したとみられている。しかも、職員は内部の規約に反し自身のパソコンに個人データを保存し、さらにパスワード設定をしていなかったと言うからあきれるしかない。さて、この日本年金機構だが、前身は2009年に廃止された社会保険庁で、いわゆる「消えた年金問題」で廃止の憂き目にあった曰くつきの組織である。2004年には300人近い職員が個人情報の漏えいが疑われる行為を行っており、幹部職員が収賄罪で逮捕される事件があったというからまったく懲りていない。社会保険庁が厚生省(現厚生労働省)の外局として設立されてからすでに半世紀。企業30年説というのがあるが、国の機関が国民の信頼を裏切り、50年でつぶれてしまうようではお先真っ暗と言うしかないだろう。
理不尽な結末に隠された企業存続のヒント
組織や会社が長く継続するのは決して容易なものではない。事実、先の日本年金機構についても国の特殊法人でありながら、存続が危ぶまれている。
では、長く続くためには何が必要なのか?
そのヒントがあの有名な昔話の中にあった。「助けた亀に連れられて竜宮城に来てみれば絵にもかけない美しさ~♪」の童謡でおなじみの浦島太郎がそれだ。亀を助けた太郎は竜宮城で乙姫の歓待を受けるが、残してきた両親を思うがばかり、後ろ髪をひかれながら故郷へと帰る。しかし、太郎が浜に戻ると知らない人ばかり。実家も無く途方に暮れる中、帰り際に乙姫から「決して開けてはならない」と渡された玉手箱を開けてしまう。すると中から煙がモクモクと吹き上がり太郎は老人の姿に変化する、といったお話。
一説によると太郎が竜宮城で過ごした期間は3年、地上での経過期間は300年とされている。
これをアインシュタインの相対性理論を当てはめ、太郎は宇宙船に乗り光速に近い速度で別の惑星に移動したのではないかとの異説もある。また、海外移住や転勤などを経て故郷に帰ってきたときに、まったく知らない状況になっていることを「浦島太郎状態だ」と日常会話にも使われている。
さて、この昔話、一見すると亀を助けたのに、親にも友達にも会えなくなり、老人になってしまうというおとぎ話としては理不尽な結果をもたらしている。これは元々あった物語を明治43年に国定教科書用として書き直したためで、神話的な内容や大人の事情がごっそり削がれているからに他ならない。
では、どこに企業存続のヒントがあるのか?それはこの話の成り立ちに由来する。
【次ページ】千年続く世界最古の会社
関連タグ