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- 2008/05/28 掲載
次世代PHS「WILLCOM CORE(XG-PHS)」とは?【2分間Q&A(44)】
PHSによるデータ通信は圧倒的にエリアカバー率が高く、モバイルアクセスの有力な手段だ。しかし、通信速度が遅く、1チャネルあたりの帯域は32kbpsしかない。
現行ではこのチャネルに改良を加えた「W-OAM(WILLCOM Optimized Adaptive Modulation)」を8つ束ねた「8xパケット方式」が利用可能だが(表1)、それでも「理論値で」最大408~800Kbpsしか得られない。しかし、このスピードの問題は、次世代PHSで大きく進展しようとしている。
表1 1チャネルあたりの帯域比較 |
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パケット方式は1チャネルあたり32Kbpsだが、W-OAM type Gでは100Kbpsに高速化されている |
次世代PHSは、最大100Mbps(注1)という高速通信を可能とするサービスだ。この詳細を解説する前に、まずはPHSの歴史とデータ通信の基本をおさらいしておこう。
PHS(Personal Handy-phone System)は95年に登場した電話サービスだ。90年代後半にかけて、通話料が携帯電話よりも安いことで多くのユーザーを獲得したが、その後携帯電話にシェアを奪われ、国内全域でサービスを提供する事業者は現在、ウィルコムのみだ。
当初は通話サービスがメインであり、本格的なPHSのデータ通信サービスは、97年に「PIAFS(Personal Handyphone SystemInternet Access Forum Standard )」という規格に基づいて開始されたのが始まりだ。その後、ウィルコム(旧DDIポケット)は2001年より独自のパケット通信サービス「AirH"(現AIR-EDGE)」を開始し、これが現行のPHSデータ通信のデファクトスタンダードとして定着した。
AIR-EDGEでは、1パケットチャネルあたり32Kbpsの「パケット方式」と、「W-OAM/W-OAM typeG 」という高速規格がある。パケットチャネルはPHSデータ通信における基本単位であり、AIR-EDGEでは最大8つのパケットチャネルを使って通信することが可能だ。
W-OAMは2006年に登場したもので、変調方式に改良が加えられ、1パケットチャネルあたり51Kbpsに引き上げられた。さらに、2007年4月よりサービスを開始したW-OAMtype Gは、1パケットチャネルあたり約100Kbps。8xモード通信時で最大800Kbpsという高速通信を実現した。なお、このように複数のチャネルを使って通信する事を「マルチリンク」という(図1)。
図1 パケット方式におけるマルチリンクの仕組み |
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PHS通信では最初に接続した時は1チャネルだけで通信を行い、その後通信量が増加するに従って 自動的に1チャネルずつ増やしていくようになっている |
最速のモバイルアクセス手段に?
このように、ウィルコムはPHSデータ通信の高速化を意欲的に進めているが、ユーザーが使える帯域は、最大7.2Mbpsの携帯電話のデータ通信規格「HSDPA」などと比べるとやはり遅いと言わざるを得ない。
PHSのデータ通信では、電波の状況(ノイズや電波強度など)に応じて、リンクアップ速度、マルチリンクの数が自動的に変動する。都市部での平均的な通信速度は、電波状況が良好な場合、W-OAM TypeG対応の機器で150〜200Kbps程度、パケット方式では100〜150Kbps程度。状況によっては64Kbpsを下回り、Webのページを開くだけで数分かかってしまうこともある。
このような状況の変革の切り札となるのが、次世代PHS (XG-PHS)だ。次世代PHSは、ウィルコムが2006年から実証実験を行っている新しいPHS規格で、2009年からサービスを開始する予定だ。実証実験では最大20Mbpsの通信速度を達成しており、近い将来上下それぞれで最大100Mbps以上の速度を出すという。 これが実用化すればまさに最速のモバイルアクセス手段となる。
次世代PHSは、既存のPHSインフラを利用して提供される(図2)。
図2 次世代PHSの運用イメージ |
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既存のPHS基地局に併設して次世代PHSの設備を追加する。バックボーンとは光回線で接続される |
具体的には、既存の基地局に次世代PHS用の設備を併設し、従来の方式と並行して運用する。ただし、従来の基地局の多くはメタル回線(ISDN)でバックボーンと接続しており、最大帯域はわずか800Kbpsだ。このため、ウィルコムでは2008年から主要都市部の基地局の光回線化(100Mbps)を進めている。
注1 最大100Mbps
サービス開始当初は数十Mbpsより開始(20Mbps程度から開始されるものと思われる)。
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