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- 2008/04/10 掲載
【連載】社内で導入するための実践「1枚企画書」講座(7)アイデアの描き方、提案の仕方
執筆:竹島 愼一郎 |
企画書でもっとも重要となるのは前回取り上げたC(コンセプト)ですが、C(コンセプト)というのはその企画について、考えに考え抜いた結果、編み出されるものです。
しかし企画の始まりというのは「こういう形にすれば便利じゃないだろうか!」とか「こういう仕組みにすれば売れるのではないか!」という「思いつき」や「ひらめき」であることがほとんどのはずです(もちろん、その企画について考えに考え抜いた結果なのですが)。そしてそれらは言葉ではなく、具体的なイメージとして浮かんでくるはずです。それがアイデアで、「SVCIPモデル」でいうならI(具体案)にあたります。
第2回でお話ししたように「1枚企画書」というのは大きく分けて2つのフェーズ(局面)から成ります。「企画の前提条件になるもの」がフェーズ1とすれば、フェーズ2は「それを運用する方法を提示する場面」だといえます。つまりC(コンセプト)をブリッジ(架け橋)として、思いついたアイデアの正当性や妥当性を述べるのが、つぎの段階のフェーズ2なのです。
前回、提案をするとき「エリアの絞り込み」といった言葉だけだと単なるアイデアに過ぎないという話をしました。コンセプトとは、誰でも考えつくような陳腐な考えではない特別な表現と見せ方をすべきだとも説明しましたが、一方のアイデアも、その企画でなければ思いつかなかった考えを、相手のハートにストレートに飛び込んでくるような表現方法で提案しなければなりません。
企画書というのは論理の積み上げによって成立します。しかし「これはすばらしいアイデアだ!」と思ったその初期段階というのは、鮮明で生き生きとしたイメージの世界です。企画書が陥りやすいのは、そうしたふたつとない、すばらしいアイデアを論理というガチガチの器に閉じ込めてしまって、かえって台無しにしてしまうケースが多いという点にあります。
企画書の理想は、思い描いたそのままのイメージをできるかぎり原型のまま、相手の頭のなかに移植して、同じ情報を共有化し、同じ認識を持ち、同じ目的意識にいたるということだと言い表すことができます。つまり「これでいける」という意識をともに分かち合うというのが企画の最終的な目標なのです。
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図1:イラスト入り1枚企画書
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人がドキュメントを見て、真っ先に着目するのはこうした視覚的なイメージです。とりわけI(具体案)の提示を主目的とする企画書であれば、結論部分にストレートに導くことができます。前回も触れましたが、これを文章型で説明すると、「企画の背景」「企画目的」「ターゲットのニーズ」「分析結果」ときて、ようやくアイデアを見せるといった手続きを経なければなりません。そうしたまだるっこい能書きなしに結論から見せることができるのが「1枚企画書」の大きな特長です。
それと企画書というのはいろんな条件下で生まれるものなので、たとえば議論を重ねた結果生まれた企画であるなら前提条件は省いても構いません。この企画書がその例で、社内的な企画書の場合、こうしたケースも少なくないはずです。
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図2:「SVCIPモデル」でとらえた図1
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詳しくはまた別の機会で取り上げますが、ここではI(具体案)を中心に提案する「1枚企画書」の形というものがあることに注目しておいてください。
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図3:写真を使った1枚企画書
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たとえば映画「ローマの休日」に出てきたようなスパイカメラを模した新しいデジカメを提案したいという場合、バックに映画にも登場したトレビの泉の写真を敷いておくと、なにより雄弁に提案している内容を伝えることができます。右図がその「1枚企画書」です。
これは純粋にアイデアのみを提示しようというものなので、「SVCIPモデル」のI(具体案)以外の他の要素はいっさい省いてあります。つまり第4回で取り上げたのが最初の企画の提案で、その場で「具体的なアイデアを提示してほしい」と言われ、後日あらためて提出した企画書がこれだと考えるといいでしょう。
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図4:イメージと説明を分けて示した1枚企画書
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それとこうしたケースでは、ビジュアル要素を左側にもってくるというのが原則です。その理由は、人間の脳でビジュアル要素を司るのは右脳の役目で、感覚器官というのは左右逆につながっているため(鼻による臭覚のみは別)、右脳につながった左目のある左側の視野が広く感じられるからです。映画の字幕は向かって右側につける傾向がありますが、これは言語をつかさどる左脳につながった右目=右側に配置したほうが認知しやすいための処置と考えられます。
これを私は「左ビジュアルの法則」と呼んでいます。こうした認識の特性に配慮した組み立てというのもビジュアル重視の企画書づくりには大切になってきます。
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