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- 2008/03/11 掲載
【連載】社内で導入するための実践「1枚企画書」講座(6)「答え」はコンセプトにあり(2/3)
執筆:竹島 愼一郎 |
企画書の内容がどのくらいで判定されるか、ご存知でしょうか。経験から言うとほんのわずかで、時間にして3秒程度にすぎません。なぜなら、受け手はそこに「問い」に対する「答え」を求めているだけだからです。これを私は企画書の3秒ルールと呼んでいます。すなわち、プレゼンとは1、2、3の間でもう決まってしまっているのです。
1、2、3ですから、何より結論を先に言ってしまわなければなりません。結論とはコンセプト以外にはありません。コンセプト発想の「1枚企画書」というのは、結論から見せる企画書だということです。結論から見ることができるので理解が早いのです。
企画書上で結論を見せるためには中心を作る必要があります。中心は前ページの企画書例のように文字通り中心に据える場合もありますし、レイアウト上、そうしない場合もあります。ただ位置的に中心でなくても、ここが中心であるという見せ方をしなくてはいけません。
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図2:中心がよくわかるよう工夫した企画書例
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文章型だと、導入部、展開部、結論部といったように論理の積み上げで説明するのがふつうですが、「1枚企画書」は優先順位のもっとも高い結論を真っ先に見せて、その根拠なり理由なりを敷えんして見せることができるのが最大のメリットです。
前回「企画書デザイン」のカラーで目立つ色彩について説明しましたが、コンセプトにあたる部分にそうした色を施すと、ここが中心であり、最初に注目してほしいと明示することができます。これからはそうした見せ方にも注目して事例を見るようにしてください。
それではコンセプトはどのように考え出されるのでしょうか。企画により、発想のスタイルはまちまちですが、行きつく先は「問い」以外にはありません。
禅宗に「答えは問処にあり」という言葉があります。「答え」を見つけ出そうとするなら、その端緒となった「問い」を徹底的に突き詰め、問題の核心とは何だったのかを追い求める姿勢が大切だというような意味です。
実は、内容が良いのにボツにされてしまう企画書の大半は、依頼者の「問い」に適合していなかったという単純な理由によるものが多いのです。いわゆる「ボタンの掛け違い」というもので、掛け違ったあとというのは時間の無駄以外の何物でもありません。
それを回避するには「問処の洗い出し」をするのがいいでしょう。
外部のクライアントの場合、企画の依頼はオリエンテーションという形で行われますが、これだけでは不十分で、「企画を依頼されたとき、これとこれを言っておられましたが、そうですね」とか「こう言われた根拠というのは、こういうことですね」と意図や意味合いを確認する必要があります。つまりオリエンテーションにはヒアリングがセットになっていなければいけないということです。
「依頼内容はこうですね」「そう言われた意図はこうですね」という切り出しは、企画書のパターンのひとつとして考えられます。実際そうで、プロの業界ではこれを「与件の整理」と呼んでいます。言葉は多少悪いかもしれませんが、最初に言質を取って本題に入る用意周到なやり方です。
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図3:「与件の整理」を紙面の一番上で提示した企画書例
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コンセプトを提示するとき気をつけてもらいたいことがあります。それは、人は先に結論を言われて丸め込まれることに無意識に嫌悪を感じるということです。「ビジネスでは結論を先に、根拠や理由はあとから述べよ」と以前説明したのとは矛盾するようですが、日本の文化的風土ではそれがふつうなのです。
「いままでのやり方は間違っていると思うんです」と、あえて真っ向から否定する高度な技術も広告業界などでは確かにあります。しかしこれはクライアントとの間に年季の入った信頼関係があってのことで、通常はそうはしません。
「与件の整理」というのは、続くコンセプトの正当性や妥当性を認めてもらうためにあります。「こう言われましたが、私はこうだと考えました。なぜなら世間に目を向け、こうしたデータを収集したところ、それは正しいとの結論が得られました」。だからコンセプトはこれに決めました、という論理で説得するのです。
「与件の整理」にあたるものが「1枚企画書」に盛り込まれていなくても、そうした内容は口頭で説明したほうがいいということは考慮に入れておきましょう。プレゼンとはある意味、心理学だという言い方もできます。
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