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  • 2006/09/08 掲載

【神田敏晶氏インタビュー後編】Web2.0によるTVとネットの新しい融合/Web2.0に死角はないのか?

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95年より「世界一小さな放送局」を掲げ、ビデオジャーナリストやポッドキャスターとして、IT業界の第一線で活躍してきた神田敏晶氏。Web2.0時代の幕開けとともに、これからインターネットビジネスがどのように変容していくのか、神田氏にお話をうかがった。

Web2.0によって始まるTVとネットの新しい融合


神田敏晶氏
――「TVとネットの融合」という観点から、Web2.0がビジネスに与える影響や変化はありますか?

 新しい試みですが、TV局がインターネット上のビデオ投稿サイトを利用しようという試みもあります。たとえば、MXTVでは、"BlogTV"という番組[*1]をTVで放映した後、動画共有サービスの"Youtube"にコンテンツをアップして配信しようとしています。自社でサーバを立ててサービスをするのではなく、一般サービスを使うわけですから、TV局側からすれば下手をすると大事な部分を握られてしまう危険もあるのですが、その一方で逆転の発想もできるわけです。

 ネット上で起きているいろいろな面白いブームの兆しを生放送のBlogTVで取り上げ、それを番組の中で解説して、さらに動画共有サイトで配信する。その情報がBlogへとフィードバックされて、またこちらに情報が戻ってきて、さらに新しい展開を起こす。"ネット上で起きていることをTVで伝える"という番組が、もうそろそろ出てきてもよいのではないかと感じています。デジタル化に向けて、TVの話題はハードウェアの進化という側面で語られることが多いのですが、コンテンツに対する様々な変化も起きています。これからはこのようなTVとネットの融合に関わるビジネスが面白いのではないかと考えています。

――ビデオジャーナリストとして、映像関係で欲しいWeb2.0的サービスはありますか?

 いまはビデオカメラを手に持って街を歩けるような世の中ではないんですね。私の場合、大きなプレスバッチを付けているから撮影できますが、自分が何をやっているのか、しっかりと意思表示ができる仕組みが欲しいです。たとえば、報道・鉄道用というように認識番号が付いた専用機材があって、撮影時にその認識番号を被写体となる人にスキャンしてもらう。そして自分が認めているサイトにしか映像がアップされないようにする。被写体側の許可なしには使用できない、そういう制約が可能なプロテクトがあると便利だと思います。専用カメラとIDを持っていれば無断で使用しない"正規の人"であることが一目瞭然でわかるため、逆に"私を撮ってください!"というような人も現れるかもしれません。

 さらに写っている人にもお金がもらえる仕組みがあればよいですね。映像共有サイトなどでは"撮れる文化"が生まれないと、面白くない映像しかアップされませんから。それから単に映像を撮るだけでなく、撮影や編集も含めてユーザーに映像の文法を教えてくれるサイトが欲しい。たとえばアクションシーン専門の映像投稿サイトがあって、サンプル事例として台本や、いろいろな音の素材などがすべて用意され、自分で撮った映像をアップして、タイムライン上で編集できるようなサービス[*2]があれば、すごく面白いと思います。

デジタルコンテンツのライセンスやインフラをどのように整えるか?

――クリティティブ コモンズ[*3]のような活動もありますが、コンテンツを加工したり編集する際には、権利関係の問題も出てくると思いますが?

 お金を支払えば、DVDなどの素材をリッピングできるプロテクトキーが与えられ、素材をマッシュアップして新しい作品がつくれる仕組みがあればよいと思います。既存の映像の2次使用を禁止するのではなくて、期間限定でお金を支払ってリミックス権のようなものを与えてもらう。もし、その素材を利用して制作したものがヒットすれば、新たにライセンス料が入る。そのような文化ができれば、さらに面白いビジネスの試みもできるのではないでしょうか。

――まだデジタルコンテンツに関しては映像系も含めて権利関係のインフラが整備されていないように感じられるのですが、いかがでしょうか?

 自分たちの作品をたくさんの人たちに見てもらいたい、逆にいろいろな作品を見てインスパイアされたいと願っているクリエイターは多いと思います。コピープロテクトは何のためにするのか? という点が問題になってくると思いますが、たとえば無断コピーの問題だけでなくて、単に"もったいない"という理由で新古品が業者に流通する形態もマズイのではないかと思います。クリエイター側にもコンテンツホルダー側にも利益が入らなくなってしまいますから。新古品を購読したら保証がきかないようにしないと。  最初に新品を購入した人だけが、デジタルでコンテンツをすべて見られる、あるいは作品を引用したいときに、ネットでアクセスして見られるといった工夫が必要でしょう。新品の価格は多少高いけれども、著作物全体をデジタル化する権利があって、自分でコンテンツを保管できる。一方で、そのコンテンツには"電子透かし"が入っているなど、著作者の権利を主張する仕組みがあればよいわけです。

>>>Web2.0に死角はないのか?

[*1]神田氏が司会を担当しているMXTVの番組。注目のブログメディアで話題になっているホットな情報や、ブロガー、アーティストなどを紹介している。毎週金曜日22時から放映。http://trj.weblogs.jp/blogtv/
[*2]Jumpcut.com(http://www.jumpcut.com/)のようにオンライン編集ツールを無償で公開しているビデオ共有サイトも登場している。同ツールでは映像のカットや、切り替え効果、音響効果、楽曲の追加などが可能。仲間の映像ライブラリにあるクリップを追加できる機能もある
[*3]個人著作者や非商用コンテンツホルダーが、著作物に関する一定の権利を持ちつつ、条件付きで著作物を他人にも利用してもらえるようにしようという活動のひとつ
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