“超優秀エンジニア”だけが在籍している?謎だらけの「人材派遣サービス」の秘密とは
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いまこそインフラエンジニアが求められる理由
そもそもインフラは、水道やガス、電気のように、人々の生活を支える上で必要不可欠な存在だ。同様に、オンラインバンキングやチケット予約など、私たちの生活基盤となっているWebサービスはいくつも存在する。万が一これらのサービスに障害が起これば、我々の生活に支障が出ることは想像に難くない。とはいえ、これらのITインフラを支えるエンジニアの数はそれほど多いわけではない。また、インフラエンジニアが担当する領域は幅広く、サーバやネットワーク、OS(Linux/Windows)の設計・構築・運用・保守など、総合的な知識や経験が求められる職種でもあり、業務内容としては新しいWebサービスなどの立ち上げに伴いITインフラを用意したり、オンプレミスからクラウドへのリプレースを担当したりと、社内システムの全般を見ることになるため、優秀な人材も限られてくる。
また、サービスの安定稼働の役割を担うため、その責任と重圧も大きい。たとえば、ECサイトでサービスがダウンすれば機会損失が発生し売上にも影響が出てしまう。社内システムの場合でも、営業支援や経理のシステムがダウンすると、関連業務に支障が出てしまう。ネットワークトラブルで社内PCがシステムに接続できなくなれば、企業活動そのものが止まる可能性もある。このようにインフラエンジニアは事業の生死を左右すると言っても過言でないほど重要な仕事を担っているのだ。
しかし、そうしたインフラエンジニアの人員が十分に確保できず、危機に直面している企業も多い。そこで、あの手この手で経験豊富な人材を躍起になって募集しているが、ただでさえIT人材が不足する市場の中で、インフラエンジニアを確保することは容易なことではない。こうした中、優秀なインフラエンジニアを次々と企業に送り込む派遣会社がある。それが、新宿に本社を置くラクスパートナーズである。
なぜ、どこでも通用するエンジニアを育成できるのか
人材派遣サービスを提供するラクスパートナーズは、テレビCMでおなじみの経費精算システム「楽楽精算」を提供しているSaaS企業のグループ会社だ。現在、ラクスパートナーズでは数多くのITエンジニア人材を企業に派遣しているが、同社の派遣サービスの特徴は、いわゆる「登録型派遣」ではないところにある。同社は、IT未経験でも優秀な若手人材を社員として採用し、独自の教育カリキュラムによって手塩にかけてエンジニアとして育成してから、派遣先の企業に送り出す「常用型派遣」の方式を取っている。つまり、派遣社員と言っても、それぞれがラクスパートナーズの看板を背負って働いているため、人材を受け入れる企業側も安心できるわけだ。
現在、同社ではインフラ領域のみならず、Web開発、機械学習、フロントエンド、QA(Quality Assurance)という5職種のITエンジニアがおり、総勢700名ほどの専門職を擁している。特に最近は毎年250名強の若手人材を採用し、ITエンジニアだけで1万人以上を創出するというビジョンに向けて邁進中だ。
そんな同社の強みは、なんと言ってもスキルの高いインフラエンジニアを短期間に養成する「虎の穴」のような独自カリキュラムがあることだろう。もともと、ラクスの源流がITスクールを運営する企業であったこともあり、学習プログラム構築におけるノウハウは豊富にある。実際に、同社ではインフラエンジニア育成にどのようなプログラムを用意しているのか。ラクスパートナーズでエンジニア育成の責任者を務める西上原聡氏は次のように説明する。
「専門性が高く、派遣先のニーズを踏まえた教育プログラムを展開しています。人材については、厳しい採用基準を設けて能力と資質を見極め、レベルの高い研修プログラムについてこられるような優秀な人材を採用するようにしています。新人の皆さんはITエンジニアになりたいというモチベーションが非常に高く、集中講義でも脱落せずについてきてくれます。研修プログラムについては座学2割、実習8割の比率としており、こまめに手を動かすことに力点を置いています。また、受講するメンバー間でチームを作り、チームごとにコミュニケーションをとり、助け合いながら課題を進めて行きます。ただ進めるだけでなく報連相や業務遂行能力といった部分もしっかり意識させます」(西上原氏)
同社は1日8時間・3カ月間という研修期間で、どのような派遣先でもスムーズに業務をこなせる超優秀なITインフラエンジニアを育てている点が大きな強みだ。もちろん基本から専門までの知識習得も大事だが、たとえ初めての職場で未知の課題に遭遇しても、研修中に身につけた「論理的な問題解決能力」によって、現場の困難を切り抜けられるようになるという。
普通のITスクールでは学べない?「実践的研修プログラム」の内容
それでは、ラクスパートナーズの虎の穴とも言うべき独自の研修プログラムについて見ていこう。どんなITスクールでも学べないような実践的な内容にきっと驚くだろう。まず、講義は基本的なITリテラシーのテーマから始まり、ネットワークやLinuxの基礎を習得する。環境構築としてAWS EC2(Linux)を実際に立ち上げてLinuxの基礎とネットワークの基礎を学び、次にクラウドの知識としてAWS(VPC/EC2/ALB)について学ぶ。ここまでをわずか2週間ほどで学ぶというから驚きだ。さらに、続く2週間でWeb系ミドルウェア(Apache/Tomcat/PostgreSQL)とSQL言語を学び、運用系ミドルウェア(DNS/Mail/NFS/NTP等)の基礎を学んで各システムを構築するプログラムとなっている。
西上原氏は、「研修プログラムの中間仕上げとして、チームごとに実際の運用を想定したロールプレイングを実施します。ここでは顧客、運用メンバー、サブリーダー、チームリーダーというように、チーム内の各メンバーに役割と遂行すべき仕事が与えられる。その上で、システムダウン時の障害対応におけるエスカレーションを想定した、現場で発生する事象に近い実習を行っています」と語る。
次の2カ月目の2週間は、よりインフラの実運用に近い学習を行う。たとえば、運用で使えるような監視系アラートやバックアップ系のシェルスクリプト(bash)などを組んで、簡単なプログラミングの感覚をつかんでもらったり、構成管理を中心とする自動化プラットフォーム「Ansible」でコードを書いたり、コードを管理するためのGitの使い方を学ぶ。また、運用監視ツール「Zabbix」なども習得していく。さまざまなミドルウェアを学んでいくが、概念そのものを理解することを意識させて、違うミドルウェアを扱う場合でもキャッチアップが早くなるような課題に取り組む。こういったオープンソース系の運用技術は、どのITスクールでも本格的には学べないだろう。
そして2か月目の残りの2週間では、総合演習として、これまで学んだ知識をフル活用し、実際にWebサービスを構築して実践力を養う。実務を想定し、あらかじめ用意した要件から負荷や信頼性、可用性、セキュリティといった非機能要件までを満たすような構成で、本格的なシステムを設計してもらう。また構築したシステムのプレゼンテーションも全員で行うという。
「実はこの段階で、知識の習得スピードが早く、事前にある程度の知識を持つ人材は、研修中に実施する計8回のテストの結果を参考に、現場に派遣されることもありますが、おおむね、残り1カ月でDockerなど、コンテナ技術の基礎や、ITモダナイゼーションに対応できる最新知識も習得してもらいます。市場動向に合わせて、随時カリキュラムもアップデートしていますので、常に最新の状態で研修を実施しています。当社のITエンジニアのバリューは、お客さまのITに関わるすべての課題解決を徹底支援するところにあります」と西上原氏は自信を見せる。
前出のようにOSからミドルウェア、AWS/lac/コンテナ、オンプレからクラウド、さらにレガシーからモダンアーキテクチャまで、実践的な内容を3カ月間という短期間で速習することがいかに大変なことであるか、実際にITインフラの構築や運用を行ったことがある経験者であればご理解いただけるだろう。
ただ、本当にそんなことが可能なのかと訝る向きもあるかもしれない。そこで、ここから2名の社員に体験談を語っていただいた。
事例(1):社内システムの保守・運用、資産管理
1人目は、元半導体メーカーの営業職だった丸尾勇太氏だ。同氏は当初、ITの知識もサーバもLinuxの知識もない初心者だったという。2022年1月にラクスパートナーズに入社し、3カ月間の研修と待機期間を経て、6月から某食品メーカーの情シス部に配属されたばかりだ。丸尾氏は、「これまでに任された業務は、オンプレからクラウド移行時のインフラ整備や、ネットワークの運用・保守などが挙げられます。研修で学んだZabbixでトラフィック監視も行っています。また資産管理ツールで1700台の社内PCを管理し、自身で作業計画を立ててWindowsのセキュリティアップデートも実施しています」と語る。まったくの初心者だったとは思えないほどの活躍ぶりと言えるだろう。
特に丸尾氏の場合は、前任者の退職直後に着任したため、研修で学んだことのない業務も多く任される形となり、4カ月という期間で濃密な経験と研鑽を積んでいる。派遣先の評判もすこぶる良いという。
「参画から間もないのに多くのタスクを迅速にさばいてくれています。業務が詰まっても前向きで対処する姿勢が素晴らしい。報告に関しても結果だけでなく、実施するタイミングに合わせて、自ら調べて提案する相談がある点も評価しています」と、もはやコアメンバーとなった彼を受け入れ企業は手放せない状況だ。
事例(2):ECサイトプラットフォームの運用・保守、手順書作成
インフラエンジニアとして活躍中の嶋田鈴香氏の事例も際立っている。2021年7月に入社し、現在は2現場目の派遣先で働いている。彼女は前職で出版社のシステム部で経理システムの保守をしていたため、研修は2カ月で済ませ、少し早く仕事についた。最初の派遣先では、得意のシステム構成図やマニュアルなどのドキュメント化を中心に行い、冗長化構成の検証と手順書なども編纂したという。現在の2社目も着任して8カ月になった。ECサイトのプラットフォーマーでの移行案件や、PR案件のキャパシティプランニングに対する増強対応など、実際に顧客の本番環境での対応も行っているという。嶋田氏の場合は、虎の穴の研修で学んだAWSの知識や、非機能要件(セキュリティや負荷など)の経験が仕事で十二分に生かされたそうだ。
「報連相のスキルが高く、チームでの共同作業もスムーズで、派遣先の指示を正しく理解し、認識のすり合わせを行って期待通りに安定した成果物を出してくれます」と、彼女への評価も非常に高い。特に2社目は技術力が求められる職場だが、3~4年目のエンジニアがやる技術であっても、必要な知識を習得して、業務に生かしていく姿勢がおおいに評価されているそうだ。
このようにラスクパートナーズでは優秀なITエンジニアを数多く輩出しているが、彼らのパフォーマンスをより十分なものにするには、ITエンジニア派遣を受け入れる企業側の明確な業務指示、働く環境の整備、そしてなにより同じ仲間として仕事をするという考え方の社内共有も大切だ。そうすることで、彼らも最大限の力を発揮できるようになるだろう。いま人材不足でインフラエンジニアの採用にお悩みの企業は、ぜひ同社の人材派遣サービスを利用し、優秀なITエンジニアを手に入れてみてはいかがだろうか。