500人読者アンケートで分かった、クラウド時代に「なぜタワー型サーバ?」
- ありがとうございます!
- いいね!した記事一覧をみる
実は国内サーバ出荷の25%以上を占める、タワー型サーバの現状
いまや多くの企業がクラウドを活用しており、基幹系も含めた既存システムをクラウドに移行したり、新規システムをクラウド上で構築している。クラウドを優先的に検討する「クラウドファースト」な企業も珍しくはないだろう。しかし、だからといってオンプレミスがなくなるわけではない。逆にパブリッククラウドから「オンプレミスへ回帰」したという企業も少なくないほど、オンプレミスのサーバ需要は依然として底堅い。
中でも日本特有の現象が、ラック型やブレード型と違いオフィス内に小スペースで設置できる「タワー型サーバ」の割合が多いことだ。2021年のサーバ出荷台数のうち、実に、25%をタワー型が占めている。他国の割合が6%前後であることを考えると、日本は突出してタワー型サーバの多い国なのである。これは一体、なぜなのだろうか?
そこで今回、弊媒体「ビジネス+IT」では、タワー型サーバを導入した企業に対して調査を実施。クラウドが隆盛する今、なぜその選択をしたのか、理由を聞いた。
■調査名:クラウド時代になぜタワー? タワー型サーバに関する動向調査
■調査方法:インターネットアンケート
■調査対象:ビジネス+IT会員
■有効回答数:554名
■ビジネス+IT編集部調べ
特に興味深かったのは、「導入時にタワー型サーバを継続するか悩んだ企業が、なぜそれでもタワー型サーバを選んだのか」という問いだ。そこから浮かび上がってきたのは「コスト」「機密性」「クラウドの人材不足」などのキーワードだ。
このアンケート結果について、デル・テクノロジーズ データセンター ソリューションズ事業統括 製品本部 シニアプロダクトマネージャー 岡野 家和氏は、「ここ数年、お客様との会話から感じていたことが裏付けられました」と次のように述べる。
「コストについては、特に小規模なIT環境をお持ちのお客さまから、『クラウドだと割高になる』という声が以前からありました。また、ミッションクリティカルなデータを扱うお客さまの場合、タワー型サーバで基幹システムを運用していたり、個人情報が管理されていたりすることが少なくありません。それを一気にクラウドに移行することに不安・抵抗を感じられるのもよく理解できます。たとえば、病院の電子カルテシステムなどは、その典型だと思います」(岡野氏)
また、一見「所有しない」クラウドに移行すれば運用管理が楽になりそうだが、実態はそうとは限らない。むしろ、複数のクラウドが混在するマルチクラウド化で管理が複雑になったり、新たなノウハウやスキルを身に付けなければならない分、専任のIT担当者がいない企業にとっては負担が大きいという現実もある。
こうした理由に加え、「日本では約380万社ある中堅・中小企業の存在も大きい」と岡野氏は語る。比較的IT規模の小さい企業では、オフィス内や各拠点、工場や店舗などにタワー型サーバを設置する傾向が強いという。
PowerEdgeサーバが高く評価される理由
このように読者アンケートからも、クラウドが隆盛する時代にタワー型サーバを選択する合理的な理由が見えてきた。そして長年、タワー型サーバを開発・提供し、高い評価を得てきたのがデル・テクノロジーズだ。同社のPowerEdgeサーバは、エントリークラスからハイエンドまで選択の幅が広いのも特徴だ。「多くのお客さまが、専用のITルームではない環境でPowerEdgeサーバを使われています。そこで求められるのが安定性、信頼性、故障率の低さ、さらに静粛性です。実際に弊社のPowerEdgeサーバは、これらの点で高い評価をいただいています」(岡野氏)
パフォーマンスや信頼性の高さは当然だが、PowerEdgeサーバが高く評価されている理由として特徴的なのが「管理性」だ。自社オフィス内にタワー型サーバを導入しているのは、いわゆる“1人情シス”の企業も多い。他の業務を担当しながらITを見ざるを得ないため、サーバ管理の負荷はできるだけ少ないのが望ましい。
そこで重要な役割を果たすのが「iDRAC(アイドラック)」と呼ばれるサーバの遠隔管理機能だ。iDRACを利用すれば、サーバの新規導入に伴う初期設定やOSインストールから、日々のシステム運用・監視、トラブル発生時の対応、ソフトウェアの更新まで、すべてをリモートで実現できる。
「PowerEdgeサーバには、エントリークラスから最上位機種までiDRACというシステム管理専用の半導体チップが搭載されています。このチップにより、リモートからの電源オン/オフやOSのアップデートなど、さまざまな管理が可能となっています」(岡野氏)
タワー型サーバのリモート管理機能については、同アンケート調査を見ても、メリットを感じている企業が多い。特にコロナ禍で出社が制限されたことで、「リモート管理機能を初めて知った」「改めて便利さを実感した」という声も少なくないようだ。
先進的なリモート管理機能と正社員エンジニアによるサポート
サーバのリモート管理機能そのものは、決して珍しくはない。ただし、PowerEdgeサーバのiDRACは、デル・テクノロジーズが独自開発した“専用チップ”をエントリークラスから上位機種にまで搭載し、その機能を使うためのGUIの使いやすさにこだわっている点が、他社との大きな差別化ポイントとなっている。実際にiDRACではリモートからさまざまな管理ができる。たとえば、障害時の自動通知もその1つだ。
「サーバの状態をiDRACが常時監視して、エラーや障害が発生した際に当社のサポートに自動通知する機能が用意されています。大きな障害につながる予兆を検知し、弊社のサポートからプロアクティブに対応させていただくこともあります」(岡野氏)
これ以外にも、障害の発生したサーバを遠隔から操作してOSを再起動したり、サーバの電力消費をモニターして管理したりする機能も用意されている。
サポート面では、エントリークラスから上位機種まで、すべてのサポートを国内にいる正社員エンジニアが直接受け付けているのも、注目すべきポイントだ。
「現在、PowerEdgeサーバの標準サポートは、すべて宮崎にある弊社コンタクトセンターに集約しています。対応するのは弊社の正社員エンジニアですので、安心してお問い合わせいただけます」(岡野氏)
半導体不足の影響は? タワー型サーバにも求められる最新テクノロジー
現在、タワー型サーバを検討するうえでもう1つ気になるのが、世界的な“半導体不足”だろう。ウクライナ情勢、自動車を初めとするあらゆる業界での半導体需要の高まりによって、IT業界も大きい影響を受けている。ビジネス+ITの読者アンケート調査でも、「納期が予想以上にかかった」「別メーカーでの納品を検討させられた」といった意見が目立った。では、デル・テクノロジーズにおいては、半導体不足の影響はどれくらいあるのか。
「残念ながら弊社でも、本来の納期でご納品できずお客さまにご迷惑をおかけしているのは確かです。ただし、『他社では納期がまったく見えない』という理由から、弊社に声をかけていただくケースが急増したのも事実です。もともとグローバルベンダーとしてサプライチェーンを強みとしていましたが、その点ではまだ他社よりは影響が少ないのではないかと感じています」(岡野氏)
企業ITにおけるクラウドの存在感は、今後、ますます大きくなるだろう。ただし、すべてがクラウドになるわけではない。システムやデータによって、あるいは企業規模によって、引き続きタワー型サーバが求められるケースは多そうだ。
「その際には、ぜひ最新テクノロジーを搭載した製品をおすすめします。たとえば、マイクロソフトの最新OSであるWindows Server 2022には、Microsoft Azureとネイティブに連携する機能が用意されています。したがって、データだけをクラウドにバックアップする、といったハイブリッドな使い方も可能です」(岡野氏)
なお、2022年10月10日には、Windows Server 2012の延長サポートが終了する。それ以降はセキュリティ更新プログラムが提供されなくなるため、非常に危険な状態に陥る。もしも現在、Windows Server 2012を利用しているなら、早急にサーバの更新を検討しなければならない。その際には、PowerEdgeサーバも候補に入れて検討したい。