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リテールDXの実態
小売業界でもDXの重要性は増しているが、思うように進んでいない企業は多い。リテールDXの現場で起きている課題について、内藤氏は次のように指摘する。「小売企業さまにおけるDXは、ツールから入るケースが多い印象があります。しかし、ツールは導入したけれど、得られたデータを効果的に活用できていないケースが散見されます。たとえば、最近のトレンドである『AIカメラ』を導入すると、さまざまなデータを取得できますが、何のためにAIカメラを導入したのか『目的』を見失ってしまうと、導入した意味がありません」(内藤氏)
小売店に設置されたAIカメラが取得できるデータは大きく「顧客」「商品」「棚全体」の3つに分けられる。「顧客」データは立ち寄り時間や手に取っている時間など、売場力を測定できる。これにより、商品プロモーションや店頭サイネージの最適化、ひいては売場最適化が可能になる。「商品」のデータからは欠品を検知できるため、機会損失の防止と補充順番の変更に活用できるだろう。「棚全体」は売場の状態を把握するためのデータである。「商品」と「棚全体」を組み合わせることで、棚割の最適化、発注・補充の最適化、ラウンドの効率化という効果も期待できる。
1つのツールからこれだけの有効なデータが得られるにもかかわらず、実態は活用しきれていないケースが多いのだ。この課題を解消する際には、メーカーが果たせる役割が多くあると内藤氏は強調する。小売流通全体の流れを整理しながら、これからのメーカーの役割、リテールDXの留意点について、内藤氏にくわしく解説してもらおう。
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