なぜ日本企業のDXにおいて「基幹系システムの刷新」が最重要項目なのか?
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DXが“断片的な業務デジタル化”に矮小化されるのはなぜか
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、デジタル技術を活用して、既存ビジネスを変革したり、新しいビジネスを創出したりする取り組みだ。そのDXのガソリンとなるのが「データ」だ。既存の基幹系システムから顧客管理や営業管理のシステム、製造業であれば生産管理や部品管理のシステムといった「構造化データ」、さらにはIoTプロダクトやスマートフォンから獲得できるセンサデータ、SNS関連といった「非構造化データ」などである。社内外のあらゆるデータを集約・分析し、ビジネス変革・創出につながる知見を見いだして、具体的なアクションにつなげなければならない。
しかし現実には「DXにつながるデータ活用」を実現している企業は少ない。日本では業務データが組織に個別最適化されており、スクラッチで構築した各システムにとどまるため、組織の外に出ることがまれだからだ。これは、SAP製品のような統合基幹業務システム(ERP)を導入している企業も同様である。基幹システムと周辺システムの連携が不十分なため、システムからデータを抽出してExcelで加工し、改めて別システムに取り込む……。こうした企業は、けっして珍しくないだろう。
その結果として起きるのが「DXの矮小化」だ。DXの取り組みが個別システムの刷新や改良、部門単位の業務効率化に矮小化され、個別最適化がさらに進んでしまう。これでは、基幹系システムと連携してビジネス変革に大きく寄与する「構造化データを活用したDX」はもちろん、比較的取り組みやすいため脚光を浴びている「非構造化データを活用したDX」も不可能だ。
本来、実現すべきなのはすべてのシステムを連携させ、必要なデータを各部門が瞬時に入手・活用できる基盤を整備することだ。たとえば、経営層・経営企画部門が国内外の製造現場のデータをリアルタイムに活用したり、製造現場で営業部門の販売データを参照できるようにしたり、SCM・管理連結観点から多角的なシミュレーションと予実分析を容易に実施できるようにしたりすることである。
もちろん、その実現は簡単ではない。しかし、方法はある。そのカギを握るのが基幹系システムの刷新である。そこを見誤ると、いま注目されている「SAP 2027年問題(SAP ERP 6.0 標準保守期限が2027年末であること)」への対応も、本質を見失うことになりかねない。基幹系システムをいかに刷新し、「構造化データを利用したDX」をどのように成功に導くか。課題解決のために必要な方法を紹介する。
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