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2015年に電子帳簿保存法の要件が緩和されたことがきっかけとなり、国税関係書類のスキャナ保存の申請数が爆発的に増えている。とはいえ、明確な目的を持たずに、単に紙を電子化して保存するだけでは、うまくいかないケースも多いという。そこで、国税局OBで電子帳簿保存法のエキスパートである袖山喜久造 氏に、スキャナ保存の法的要件や、電子化の際に注意すべき点、システム導入時のベンダー選定の決め手など、文書電子化について1問1答形式で回答してもらった。

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SKJ総合税理士事務所
所長・税理士
袖山 喜久造 氏

1.今、書類の電子化が求められている背景とは?

 日本の慣習上、これまでは紙で契約書や発注書、請求書などを発行する企業が多くありました。もちろん以前から会計業務はコンピューター化によって行われてきましたが、取引相手から紙の書類を受け取ると、ほとんどの企業は紙書類を確認して処理していました。しかし、業務プロセス上での紙で行う審査や承認は属人的な処理になりがちで、手間がかかり、紙書類自体の保存も必要になります。企業がこれからデータをより活用する業務に移行するには、必ず電子化が求められるわけです。

 また、内部統制を強化するためにも、処理された帳簿書類のデータを分析や検索できるようにするほうがチェック機能が働くため効果が上がります。企業の不適切な取引は、取引の内容を社員等や取引先との通謀などにより書類の内容が改ざんされ、取引を偽装することも多く、チェック機能を強化するため証憑(しょうひょう)をデータ化することも、企業が電子化を行う大きな動機になります。

2.電子化を行うことで、どのようなメリットがある?

 先ほど触れたように、まず内部統制やガバナンスを強化できることが最大のメリットです。

 業務効率化という点では、取引で生じる書類を電子化することで、税務調査において必要書類を提示する際にデータで提出でき、検索も容易に行えるようになるため、税務調査対応の業務負荷も軽減されます。さらに電子化する際には、業務に関する処理プロセスを見直すことになりますので、それにより的確なチェックや審査、業務の効率化が図られ、働き方改革を実現できるようになります。

3.電子化することによるリスクは?

この記事の続き >>
4.これまで電子化を妨げていた原因は?
5.電子帳簿保存法はe文書法とはどう違う?
6.現在、どれくらいの企業が電子帳簿保存法に対応している?
7.企業が電子化を成功させるために求められることは?
8.システム導入時にベンダーを選定するポイントは?
9.システム面で、特に注意すべき点は?
10.電子帳簿保存法に対応すると、税務調査で企業にメリットがある?

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