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3つの変化が同時に起きている現在のビジネス環境
──現在、「第4次産業革命」「破壊的イノベーション」といった言葉が飛び交っています。横塚さんは、こうしたビジネス環境の変化をどうとらえていますか。横塚氏:今、日本では3つの大きな変化が同時に起きています。1つはアマゾンやグーグルなどのデジタル技術を駆使した巨大企業がライバルとして登場してきたことです。たとえば、アマゾンは金融に進出するという話もありますし、衣料品や生鮮食料品を扱い始めています。それは、既存の銀行やスーパー、アパレル企業にとって間違いなく大きな脅威です。
2つ目は人口減少です。人口が減ればマーケットは縮小します。もちろん、海外に活路を見いだすことも必要ですが、それも含めて、対応を考える必要があります。
3つ目は顧客の変化です。今はモノがあふれています。私が若かった頃のように「食べられればいい」「着られればいい」という時代ではありません。さらに、ネット上に情報があふれ、顧客側が大量の情報を持つようになりました。マーケティング用語を使うなら、「情報の非対称性」が逆転したのです。その結果、一人一人の顧客が本当に価値(バリュー)のある商品・サービスしか買わなくなったのです。
──企業は、この3つの変化を考えながら戦略を考えなければならないということですね。たとえば3つ目の「顧客の変化」ですが、かつては「いいものを作っていれば売れた」という時代もありました。
横塚氏:もはやそういう時代ではありません。典型的なのはコンビニです。たとえば、セブンイレブンには2000~3000種類の商品が置いてありますが、近年、その7割近くはプライベートブランドだと言われていて、次々とヒットを飛ばしています。膨大なお客様のデータを手に入れたコンビニが、いまやお客様に代わって、お客様にとって価値のあるものをメーカーに作らせているわけです。
──そのコンビニ業界にも、アマゾンがレジのない店舗「Amazon Go」をスタートするなど、新しい脅威がやってきそうです。
横塚氏:そのくらい変化が激しいのです。本当に怖いと思います。
テクノロジーに対応するだけでは「会社がなくなる」
──こうした3つの変化に対応して企業が生き残るために、何をしなければならないのでしょうか。横塚氏:よく知られている例は、コダックと富士フイルムです。コダックは、デジタルカメラに乗り遅れて2012年には上場廃止に追い込まれました(現在はニューヨーク証券取引所に再上場)。一方の富士フイルムは、得意技を活かして、化粧品や医薬品に進出して本業そのものを転換しました。
今回の第4次産業革命の最大のポイントは、何もしなければ本業が破壊されるということです。テクノロジーの問題ではなく経営の問題なのです。ここを誤解し、経営者が「これはテクノロジーの問題だから、IT部門で対応するように」と考えたら、会社がなくなるということです。
──最新のテクノロジーに対応して現在のビジネスに取り入れればよい、といったレベルの変化ではないということですか。
横塚氏:その通りです。社会構造が変わるのです。たとえば、自動運転が実現したら、街中を自動運転車が巡回し、スマートフォンで呼んだらすぐにやってきて、安価で目的地まで運んでくれるようになります。そうなったら、マイカーを購入する人は減るでしょう。中には現在の40%にまで減るという研究もあります。
そうなれば、自動車産業は変わらざるをえません。駐車場が不要になるのでパーキング産業も不要になりますし、クルマがぶつからなくなるので自動車保険や修理工場も苦しくなります。免許証も不要になって、自動車教習所もなくなるかもしれません。自動運転だけでも、これだけの変化が起きる可能性があるのです。
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