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コラボレーションのカタチを変える新デバイス、Surface Hub
Surface Hubは、国内では8月21日より出荷が始まったばかりの新デバイスだ。55インチ(フルHD:1920×1080ドット)と84インチ(4K:3840×2140ドット)の2モデルが用意され、2台のカメラを内蔵し、タッチペンとタッチパネルで、さまざまなアプリを利用できる。このSurface Hubは単なるディスプレイではない。Windows 10 Teamを搭載したコンピュータで、ストレージも内蔵し、「Office」(Word/Excel/PowerPoint)や「Skype for Business」もプリインストールされている。もちろん、Windows ユニバーサルアプリをセットし、機能を拡張することも可能だ。日本マイクロソフトの鈴木 敦史氏は、「コラボレーションのカタチを変える」とSurface Hubについて自信を見せる。
同氏は、実際にSurface Hubを使いながら、簡単なデモを交えて基本機能を紹介した。
「ホワイトボードの書き心地は、言葉で表現するのは難しい。あたかも模造紙に書いている感覚に近いですが、2つのポイントがあります。まず描画速度が速いこと。ペン先と線が同期するので、タッチペンで文字を書く際のストレスがありません。またペン先と描画部の間にあるガラスの厚みを吸収する工夫を凝らしている。ペンが当たっている位置に線が正しく描画されるように補正をかけています」(鈴木氏)
ディスプレイ機能では、Surface Hub本体下に、複数の接続端子が並んでおり、VGA/HDMI/DisplayPortによってビデオ入力が可能だ。デモではケーブルで接続せず、無線通信によるディスプレイ伝送技術「Miracast」によって、Surface Bookの画面をワイヤレスで表示していた。MiracastはAndroidにも対応し、スマホの画面も映すことができる。
「Windows 10搭載のデバイスをMiracastでSurface Hubに接続すると、PC画面上でタッチ操作を行えたり、Surface Hub側の画面上に描いた内容が、PC側にも反映されます。このようにタッチ/ライトバックがUSB接続なしに可能な点がメリットの1つです。またApple TVを使えば、iOSやMacOSのデバイスも対応できます。画面をキャプチャしてから、ホワイトボードに移して書き込み、それをメールでグループに送信して共有するといったことも可能です」(鈴木氏)
Skype for Businessと組み合わせるともっと便利に
鈴木氏は、他のアプリを組み合わせたSurface Hubの利用法についても紹介した。たとえば「Skype for Business」を使えば、遠隔地でも社内と同じやりとりができて便利だ。「法人向けのSkype for Businessは一般用とは別物。Office製品と連携し、Outlookで相手のプレゼンスもわかります。これはスケジュールとも連動しており、会議などが入っていれば自動的にプレゼンスも設定されます。PCを閉じれば自動でオフラインになります。これにより、オフラインならメールを送り、オンラインならインスタントメッセージやビデオ通話で連絡するというように、相手への連絡方法を使い分けることができます」(鈴木氏)
デモでは、Skype for Businessを使って、Surface HubとiPadで簡単なコミュニケーションを実施。Pepperの補修に来たが、故障して動かないため困っているというシナリオだ。そこで詳しい人を検索して呼び出し、故障の原因を特定してもらう。
「音声+映像+Officeの資料を共有し、遠隔地の専門家のナレッジを提供してもらえる。今後のビジネスでは、別の場所からのリソース活用が重要になるでしょう」(鈴木氏)
またSkype for Businessは、同一組織外での連絡として、スマホや固定電話への外線発信も可能だ。相手がPCを使えない環境にいる場合は便利だ。通話の音質もクリア。実はSurface Hubにはマイクアレイが内蔵され、音の方向を識別して、複数のマイクで集音しているためだ。
「Surface Hubは従来にない大きなディスプレイでタッチ操作やペンが使えるため、いろいろなシーンで利用できます。会議室だけでなく、オープンスペースに設置してアドホックで会議を行ったり、遠隔コミュニケーションをしたり、コラボレーションのカタチを変えられるデバイスです」(鈴木氏)
「組織」を活性化させる方向に舵を切るソフトバンク
日本の生産年齢人口は、2040年までに約2300万人減少するという(2010年基点)。いま政府も、女性労働力の活用や、外国人労働者の取り込み、ロボット導入など、さまざまな施策を模索中だ。その1つとしてテレワーク導入が挙げられる。2020年までにテレワーク導入企業を3割以上に増やし、全労働者の10%をテレワーカーに変えようとしている。では、ソフトバンクが考えるワークスタイル変革とはどのようなものか? 同社では個人と組織に分けて対策を練ってきた。つまり、一人ひとりの生産性を高めながら、グループで最大限の成果を発揮するということだ。そのために、これまでフリーアドレス制を導入し、iPhoneやiPadを2万台も全社員に配布し、スマートデバイス上で仮想デスクトップを使って、セキュリティも担保してきた。
「現場から進捗状況を報告したり、すきま時間に案件情報を入力したり、ショップの接客レベルを均質化したりと、さまざまなシーンで変革が進められました。この変革によって、法人営業部門の獲得回線数は2009年から5年間で2.7倍に増加し、営業利益も783億円(FY13)まで増益しました」(石井氏)
組織を活性化するためには、社内外の知を集結し、イノベーションを生み出せる新しいワークプレイスが必要だ。石井氏は、このカギとして「生産性」「創造性」「協同性」という3つのポイントを挙げた。
「新しいスタイルとして、どこでも仕事ができること、使いにくいIT会議システムによるストレスを解消すること、さらに全員に発言をしてもらうことは大事。単一組織だけでなく、組織を横断したコミュニケーションを行う協同性も求められます」(石井氏)
そこでイノベーションを起こすキーソリューションとして導入したのが、冒頭のSurface HubとSkype for Businessの組み合わせだ。
「Surface Hubは、会議の内容がそのまま議事録になり、それを他人に配布できます。また直観的な操作でスムーズな会議が行える。お客様からは、共同スペースに設置したいというご要望もあります。ポイントはSurface Hubの仕様が立ち会議を行う高さになっていること。立ち会議は足が疲れるため、ダラダラでなく、効率的な会議になります」(石井氏)
最大のメリットは「使いやすさ」、プレゼン資料を共有しながらの会議も簡単
石井氏は、数台のSurface Hubを使ったデモも行った。デモのシナリオは、ソフトバンクの新人営業マンがSkype for Businessでマイクロソフトに問い合わせを行うというもの。これまで同社で会議をする際は、会議室やプロジェクターの予約など、人以外の部分での調整も大変だった。本来の目的は生産性を向上することだが、その目的と手段が逆転するような状況だった。またタブレットを導入しても、ペーパーレス化は容易ではなかった。というのも、ExcelファイルはiPadでは見にくい。またクラウドにファイルを置き、ダウンロードしてもらうのだが、それ自体が手間だった。社外と会議を行うことも大変だった。そもそもミーティングで難解な用語が出てくることも多く、PowerPointの資料などを共有しながら理解する必要があったからだ。
「このように会議システムの運用は、一般的にはハードルが高い。いかに簡単に使えるようにするかという点が課題です。もちろん使い方を社員に教育することも重要です。Skype for Businessのメリットは、何といっても使いやすい点にあります。ワンタップで会議に参加できる。相手側に招待状を送り、そこに表示されたURLをクリックすれば、専用アプリがなくても会議に入れます」(石井氏)
Surface HubとSkype for Businessで遠隔会議を実施すれば、プレゼン資料を共有しながら、資料の修正を指示したり、追加資料を提示して、その資料をキャプチャすることも可能だ。
「これまで海外に相手がいるシーンでは、なかなか遠隔会議の機会を持てなかった。しかし、このソリューションを導入すれば、海外への遠隔会議も容易に実現できる。コラボレーションの多様化により、“文殊の知恵”も生まれるでしょう」(石井氏)
また、単なるビジネス上の遠隔会議だけでなく、流通業における店舗情報を集約し、マーケティング部門のスーパバイザ―が情報を分析したり、大学や塾などでアンケート形式で問題を出し、その問題の回答を統計化したり、さまざまな分野での活用が期待できる。
最後に石井氏は、ソフトバンクがSurface Hubを販売する優位性について触れた。
「Skype for Businessには、セキュアで高品質なネットワーク環境が必要。Polycomのようなテレビ会議システムの代わりに使うのならば尚更です。我々は閉域網(WAN)としてダイレクトアクセスや、SmartVPNも用意しています。キャリアの強みも活かしながら、通信系もワンストップで提供できる点が我々の強みです」(石井氏)