ランサムウェア、仮想化、クラウド…なぜ今バックアップ体制を見直すべきか
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仮想化やクラウドで複雑化する環境のバックアップは難しい
仮想化環境が普及期に入り、SOHO、小企業から、中堅・中小企業、大企業まで幅広く浸透してきた。既存の物理環境を仮想環境に移す、いわゆる「P2V」(Physical to Virtual)の需要も高く、業務に直結するシステムの仮想化も急速に進んでいる。もちろん仮想化対象が業務に関わる場合は、データの重要度は一気に高くなる。当然、仮想化環境と共に大切なデータもしっかりバックアップしなければならないことは明らかだろう。「とはいえ、まだ仮想化に適したバックアップ体制をしっかり整えている企業は多くありません。その大きな理由は、やはりコストの問題です。バックアップ作業は直接利益に結びつきません。そのため、どうしても後回しにしがちです。しかしクルマの任意保険と同じように対策しておかないと、いざというとき事故が起きても、どうにもなりません」 こう指摘するのは、ネットジャパンの営業本部 営業企画部 部長 佐藤 尚吾氏だ。バックアップには常にコストの課題がつきまとうが、しっかり対策を施さなければ、あとで泣きをみることになりかねない。
近年、クラウドの導入も進んできたが、現時点ですべてクラウドに移行している企業は稀だ。カスタマイズされた独自の業務システムを持つ企業は、OSが刷新されても、すぐに自社のシステムを最新OS上へ移行できない。そこで前述のように仮想化環境が活躍することになり、物理・仮想・クラウド混在のハイブリッド環境で、いかに低予算かつ使いやすい運用が行えるかという点が大きなポイントになる。ただし仮想化環境のバックアップ/リストアは、他のアプリケーションのように一筋縄ではいかないのも事実だ。
「仮想環境にはVMwareやHyper-Vのほか、VMware vCloudやXenベースのクラウドサービスなども提供されています。それぞれ環境が異なるため、バックアップだけなく、復元を行うリストアまで考慮すると、非常に複雑で面倒な作業になります。さらにBCP対策として、DR(災害復旧)のためにデータを遠隔地に転送すると、回線の問題が起きます。環境が改善されたとはいえ、いまでも転送速度がデータ量に追いつかず、長時間にわたってしまうケースも多いのです」(佐藤氏)
激増するランサムウェアはセキュリティソフトだけでは防ぎきれない
加えて最近では、新たなセキュリティ問題も浮上している。ランサムウェアによる被害だ。ランサムウェアに企業のコンピュータが感染すると、PCがロックされたり、ファイルが暗号化され、アクセスできなくなってしまう。この場合、犯罪者に身代金(ransom)を支払うまで暗号化は解除されない。そんなときでも、普段からバックアップを定期的に実行しておけば、すぐに元の状態に戻せるわけだ。「いまやバックアップとセキュリティは、セットで考えて守る時代になりました。ランサムウェアはセキュリティソフトを導入していても、完全には防ぎきれません。社員や社内のメールアドレス、自身のメールアドレスで送付されてくることもあり、うっかりとクリックしてしまうことが多いようです。実際に被害に遭ったことで、失ったデータを元に戻せることの重要性を認識し、改めてバックアップ/リストアソリューションをお求めになるケースも増えています」(佐藤氏)
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