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  • 2025/03/27 掲載

なぜ、あの企業の生成AIは成果が出るのか? グローバル調査が明かす“決定的な差”

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「AIが企業の未来を二分する」──。いま、ビジネス界でこの現実が鮮明になりつつある。先駆者たちは社内外の枠を超え広範な領域でAIを活用し、AIを経営の中核に据えて着実な成果を生み出している。その一方で、実証実験(PoC)の迷宮から抜け出せない企業も後を絶たない。なぜ、こうした明暗が分かれるのか。本稿では、最新のグローバル調査データを紐解きながら、成功企業に共通するAI戦略と、停滞企業が陥りがちな課題の突破口を探る。
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最新調査が示す「成功企業」と「停滞企業」の分岐点

企業における生成AI活用の現状

 企業における生成AIの活用が加速している。それは、各種調査でも裏付けられている。たとえば、IBMの調査機関であるIBM Institute for Business Value(IBV)の調査によると、2023年から2024年にかけて生成AIに対する経営者の期待は大きく拡大し、現実に投資対効果も急上昇しているという。

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2023年から2024年にかけて経営者の生成AIへの期待は拡大、効果も出始めている

 その背景について「機械学習が注目された2015年~2016年ころのAIブームに乗りきれなかった企業が、生成AIに飛びついているのではないか」と分析するのが、日本アイ・ビー・エム コンサルティング事業本部 執行役員 松瀬 圭介氏である。

「当時は自社でデータを準備して、それを学習させて初めてAI活用に進めたため、ハードルが高かったのです。しかし、今回は公開されている基盤モデルをそのまま利用すればよいこと、自社データを手軽に活用できるRAG(検索拡張生成)の技術も浸透してきたことから、多くの企業が活用できるようになったのです」(松瀬氏)

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日本アイ・ビー・エム
コンサルティング事業本部
執行役員
松瀬 圭介氏

 IBVの調査では、機械学習ブームのころからAIの経験を積んだ企業(先導者)と、ChatGPTの登場以降、生成AIに取り組んだ企業(機会主義者)によるAI活用の違いも報告されている。

 それによると、先導者は広範な分野でAIを活用しているのに対し、機会主義者はカスタマーサービスやIT、セキュリティなどに重点的に導入しているという。その違いを、松瀬氏は次のように分析する。

「従来型のAIを活用してきた先導者は、従来型AIを改善、補完する目的で生成AIを導入することで、より広範な領域で変革を進めています。一方、機会主義者は、情報技術やセキュリティといった定型的なプロセスが多い領域、もしくは『社外の顧客に直接的な影響を及ぼさない領域』で導入を進めていると考えられます」(松瀬氏)

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企業の成熟度によるAI実用領域の違い

生成AI活用のハードル、経営層にとっての課題は?

 多くの企業がAI活用を本格化する一方で、まだまだこれから、もしくはようやく取り組みを開始したという企業も少なくない。こうした企業に多いのが、PoC(概念実証)で終わってしまうことだ。松瀬氏は、その背景には大きく2つの問題があると指摘する。

「1つは、生成AIを適用する業務の実現性あるいは適合性が十分に見極められていないことです。もう1つが、特定のユーザーしか恩恵を受けない領域で生成AIを活用しようとすることです。生成AIの活用領域・活用方法を、我々は『ユースケース』と呼んでいますが、このユースケースを見極めた上で、中長期的なプランに沿って実現へのロードマップを描くことが重要です」(松瀬氏)

 なお、前述のIBVの調査では、経営層が考える生成AIの普及を妨げる課題についても調査している。これを見ると、生成AIの活用が成熟するにしたがって、経営層が懸念するテーマは変化することが分かる。

「2023年から2024年にかけて、データの正確性や偏りに関する懸念、AIモデルをカスタマイズするために利用できる独自データが不十分、生成AIの専門性が不十分といった課題が上位を占めるようになっています。実際に取り組みを始め、活用が進むにつれて、こうした課題が見えてくるのだと思います」(松瀬氏)

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経営層が懸念する対象と普及への課題

AIガバナンスとは? その確立方法は?

 企業にメリットをもたらす一方で、AIにはさまざまなリスクもある。たとえば、著作権の侵害、個人情報の漏えいなどは、その代表だろう。本人の承諾がないままモデルの学習にデータが利用され、その結果、個人情報や機密情報が第三者に漏れるといった事態は、十分ありうる。

 ただし、こうした事態に対応するための法整備も進んでいると、日本アイ・ビー・エム 技術理事 AI倫理チームリーダー コンサルティング事業本部 工学博士 山田 敦氏は次のように説明する。

「たとえば、内閣府のAI戦略会議の下に設置されたAI制度研究会では、AI制度の在り方を検討し、中間とりまとめを発表しています。そこでは、AIのリスクごとに、どの法律で対応するかが示されています」(山田氏)

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日本アイ・ビー・エム
技術理事
AI倫理チームリーダー
コンサルティング事業本部
工学博士
山田 敦氏

 こうした法律への対応も含めて、企業が取り組まなければならないのが「AIガバナンス」だ。山田氏は、その意義を次のように説明する。

「我々は、AIガバナンスを『AIを適切かつ安全・安心に使っていくために会社が持つべき仕組み』と考えています。たとえるなら、AIガバナンスはAIを活用するための『ガードレール』です。ガードレールがしっかり整備されていれば、その中を全力で走ることができるわけです。なお、2023年12月にISO/IECがAIガバナンスの国際標準(ISO/IEC 42001)を公開していますが、そこでも同様に定義されています」(山田氏)

 では、AIガバナンスを確立するにはどうすればよいのだろうか。山田氏は「基本的にはモノ作りのアプローチと変わりません」と次のように述べる。

「モノ作りと同様に構想・要件定義を行い、仕組みを構築し、運用・改善を繰り返し、徐々に対象範囲を拡大していくのが基本的なアプローチです。たとえば、EUのAI規制法に対応するなら、それが要件であり、その要件を満たすための組織やプロセスを構築し、ツールを導入し、運用を回して、改善を繰り返すのです」(山田氏)

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AIガバナンス確立に向けた推進アプローチ

AI活用、AIガバナンス確立のためにIBMが提供できる支援

 AIガバナンスの確立を含めて、自社だけでAI活用を推進するのは限界がある。やはり、経験豊富なパートナーが欠かせない。そしてIBMは、ツール、技術、コンサルティング等のあらゆる領域でその役割を果たせる希有な存在だ。まず、同社が提供できるツール、技術について、松瀬氏は次のように説明する。

「ツールとしては、開発プラットフォームのwatsonx.ai、データを管理するwatsonx.data、ガバナンスを確立するwatsonx.governance、各種システムとの連携を実現するwatsonx Orchestrateを提供しています。また、自社固有の基盤モデルを作りたいお客さまに対しては、製品化前の技術を使ったご支援も行っています」(松瀬氏)

 一方、同社のコンサルティングについては、企業の課題を解決するためにテクノロジーを活用する「オファリング」を提供すると、次のように説明する。

「たとえば、製造業における生産管理プロセスを効率的するために、生成AIを活用して自動化・最適化するといった取り組みがオファリングです。そして、オファリングを組み立てるために、我々のwatsonxだけでなく、アドビ、AWS、マイクロソフト、セールスフォース、SAPなどのエコシステム・パートナーの技術もあわせて提供していきます」(松瀬氏)

 そして松瀬氏は、同社のコンサルティングの強みを「エンド・ツー・エンドで効果が出るまで伴走すること」と、次のように述べる。

「たとえば、コンサルティング企業であれば、上流の構想策定やPoCまでは対応できるでしょう。しかし、それを業務プロセスに根付かせたり、ミッション・クリティカルな領域まで踏み込んで支援することは難しいと思います。一方、我々はテクノロジーでの優位性だけでなく、長年お客さまのエンタープライズ・ビジネスを支援してきたノウハウがあります。構想策定から技術支援、それを業務に根付かせる支援、さらに内製化を目指す企業に対しては人材の育成、その後のBPOの支援まで、真にエンド・ツー・エンドで対応できます」(松瀬氏)

 また、AIガバナンスの確立においても、IBMにはさまざまな知見・ノウハウが蓄積されていると、山田氏は次のように説明する。

「IBMは2018年からAIガバナンスの組織を作って運用してきました。その過程でさまざまな改善を繰り返してきた実践の経験が、リアルな価値を生み出していると考えています。組織的には、技術と法律の2トップが健全な綱引きをしていることが重要であり、攻めと守りのバランスをいかに見つけるかがポイントです。その両極端に明るい未来はありません。たとえば、リスクをゼロにしたければAIを使わないことが最善の策ですが、それでは意味がありません」(山田氏)

全社AI活用に向けて知っておきたい「AI活用成熟度レベル」

 AIを活用して価値を最大化するには、部門単位で個別最適化した活用ではなく、全社での活用が必須だ。そのためには各部門で培ったAI活用のナレッジと資産を汎化して全社的かつオープンなAIプラットフォームで共有・統制化し、全社に広げていく必要がある。

 そしてIBMでは、そのために必要な6つの柱を整理している。それが「AI at Scale Maturity Model(全体最適に拡張するためのフレームワーク)」だ。

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全社AI活用に向けて考慮すべき6つのテーマ

「ビジョンと戦略を確立すること、その推進に必要な人材を育成すること、事業変革に必要な文化を醸成すること、AIを事業の中に取り込んでいくための仕組みなど、6つのテーマを挙げています。そして、こうした取り組みに加えて重要なのが『信頼と倫理』であり、これがAIガバナンスにあたります」(松瀬氏)

 さらにIBMでは、「AI at Scale Maturity Model」にもとづいて、16カ国、17業種、約2100の企業を調査し、AI活用の成熟度レベルを分析している。それを示すのが次の図だ。
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AI活用展開モデルと成熟度レベル

「成熟度レベルは1から6までに分かれていて、現在の自社の立ち位置を確認することができます。全体的に見るとレベル2~3の企業が多い状況です。また、業界ごとのレベルを確認することもできます。たとえば製造業であれば、全世界の製造業の中で自社の立ち位置を確認することが可能です」(松瀬氏)

課題解決へのチャレンジにはAIが役に立つ

 他国に比べて低い労働生産性、なかなか上昇しない賃金、さらに少子高齢化に伴う深刻な労働力不足など、日本はさまざまな課題を抱えている。松瀬氏は「生成AIを含むAIは、こうしたさまざまな課題の解決につながる重要なテクノロジーです」と強調し、次のように続ける。

「だからこそ、企業にはこうした課題解決に向けたチャレンジが求められていると思います。古いしきたりや慣習にとらわれることなく、できることからどんどんチャレンジしていくことが重要ではないでしょうか。AIは、そのために役立つテクノロジーであり、そのチャレンジを我々は全力で支援したいと考えています」(松瀬氏)

 そして、そのチャレンジで100%の力を発揮するためのガードレールとなるのが「AIガバナンス」だ。2018年から社内にAIガバナンスの組織を作り、運用してきたIBMは、他社には追随できないさまざまな知見・ノウハウを持っている。

 AIの活用からガバナンスの確立まで、あらゆる段階、領域で支援メニューを提供できるのがIBMだ。すでに広範囲にAIを活用しているAI先進企業から、これから本格的に活用する企業、さらにこれから活用を検討する企業まで、各企業に最適な支援が必ず提供される。AIについて少しでも課題を感じているなら、ぜひ同社にお声がけいただきたい。
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