Zoomが狙う「ビデオ会議の“次”」- 顧客体験と従業員体験を変革する新製品の価値とは
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Zoomが示した新ビジョン、AI時代に何を目指していくのか
キーノートの冒頭に立ったのは、ZVC JAPAN 代表取締役会長兼社長の下垣典弘氏だ。下垣氏は、同社が新たに掲げた「ひとつのプラットフォームが世界を変える 無限に広がる人とのつながり」というビジョンを披露し、イベントの見どころを次のように語った。
「1つ目はビデオ会議、チャット、電話、メール、カレンダー、バーチャル作業スペース(Huddles)など、共同作業に必要なツールが統合されたプラットフォームであるZoom Oneです。2つ目がZoomのAIへの取り組みです。我々は創業時からAIに取り組み、ソリューションには、すでに活用可能な状態でAIが組み込まれています。そして3つ目が、お客様の体験(CX)と従業員の体験(EX)をともに向上させる新しいソリューションであるZoom Contact CenterとZoom Virtual Agentです」(下垣氏)
本社のキーパーソンが語った「コミュニケーションの肝」とは?
ブラウン氏に続いて登壇したZoom Video CommunicationsでAPJ カスタマーエクスペリエンス部門責任者 フィリップ・ザミット氏は、顧客体験の重要性について語った。
「素晴らしいカスタマーサービスに出会うと本当にワクワクします。そして、多くの企業がこうしたサービスを提供したいと考えています。なぜなら、それこそが競争力となるからです」(ザミット氏)
そして、特に重要なのが「共感(Empathy)」であり、コンテキストに合った形で顧客の共感を得られるコミュニケーションの重要性を強調した。そして、ひとつのプラットフォームでチャット、音声、ビデオに対応し、CRMなどの外部サービスとも連携できるZoom Contact Centerは、まさにそれを実現できるソリューションであると述べた。
「Zoom Contact Center」と「Zoom Virtual Agent」が叶える次世代の顧客体験とは?
「これまでのお客様対応では、さまざまなツールを切り替える必要がありました。また、問い合わせの30~50%は、コンタクトセンターもしくはお客様の担当部署だけでは解決できず、外部の専門家や社内の別組織の支援が必要になるといわれています。Zoom Contact Centerは、こうした従来のコミュニケーションや連携の課題を一気に解決できるプラットフォームです」(深海氏)
続けて深海氏は、企業のAIに対する関心について、次のように説明した。
「ある調査では、企業経営者の74%以上が自社サービスや顧客対応へのAI導入にメリットがあると考えています。さらに、チャットボットを導入することで、エンドユーザーの問い合わせの約50%を自己解決できるというデータもあるのです」(深海氏)
そして、まさにそれを実現するのがZoom Virtual Agentであるという。Zoom Virtual Agentは、自然言語処理と機械学習を使用して正確な解釈を行い、顧客の問題をすぐに解決するインテリジェントな会話型AIチャットボットである。これにより、24時間年中無休で個別の顧客体験を多言語で提供し、人間の負荷を大幅に削減できる。
「Zoom Contact Centerと組み合わせることで、次世代のお客様対応を実現できます」(深海氏)
深海氏は、Zoom Contact CenterとZoom Virtual Agentを組み合わせたデモを紹介した。デモでは、あるECサイトで注文したTシャツが届かないことを不安に思った顧客がサイトのチャットボット(Zoom Virtual Agent)に問い合わせるところから始まった。
チャットボットは顧客とスムーズなやり取りをするが、商品が届いていない事態を重く見たオペレーターが有人チャットに切り替えて対応を引き継ぐ。
「その時点で、チャットボットとお客様とのやり取りの履歴、お客様の情報はすべてオペレーターに自動的に引き継がれます」(深海氏)
デモでは、その後、顧客が外出しなければならず、時間がなくなってくる。このよう場合、従来であれば顧客に再度の問い合わせをお願いするしかない。しかし、Zoom Contact Centerは異なる。
「Zoom Contact Centerであれば、お客様のスマートフォンに電話できます。オペレーターは、電話でおわびをし、次回お使いいただけるクーポンを即座にお渡しすることもできます。さらにお客様が希望されれば、ビデオに切り替えて対応を継続することも可能です」(深海氏)
このように、すべてのコミュニケーションがZoom Contact Centerだけで完結するのがポイントだ。つまり、顧客が望む方法と都合の良いタイミングで、コミュニケーションのチャネルを選択し、最適な答えを最短で出せる。これにより顧客体験(CX)が向上すると同時に、オペレーターの対応もシンプルになり、従業員体験(EX)の向上にもつながるのである。
NECネッツエスアイは「コンタクトセンターDX」をどう実践?
今回のZoom Contact Centerの国内リリースにあたっては、一般公開に先駆けて自社でZoom Contact Centerを導入し、検証プログラムを実施したという。活用方法は、Zoomのサポートデスクと社内向けサポートの2つだ。登壇した同社 DXソリューション事業本部 オフィスソリューション事業部 事業部長 滝岡宏規氏は、次のように説明した。
「弊社には、毎日お客様からZoom製品に関する多くのお問い合わせが寄せられます。これまでのヘルプデスクは電話かメールだけでしたが、そこにZoom Contact Centerを導入しました。また、従業員向けのITツールについても、従来はコンシェルジュが対面で対応していましたが、時間も手間もかかることから、Zoom Contact Centerを導入することにしました」(滝岡氏)
現在、Zoomのサポートデスクでは、これまで蓄積したナレッジをZoom Virtual Agentに学習させて、対応の迅速化を目指している。また、社内向けサポートでは、コンシェルジュがその場にいなくてもリモート対応できる仕組みを構築中だ。
その上で滝岡氏は、Zoom Contact Centerと同社が進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)の関係について、次のように語った。
「多くの企業がDXを推進していますが、最も大変なのがデータを1つにまとめることです。しかし、Zoom Contact Centerを使うと、それが簡単に実現できます。Zoom Contact Centerという1つのプラットフォームに、すべてのデータを統合できるからです。これは、Zoom Contact Centerを活用する大きなメリットの1つです」(滝岡氏)
ServiceNowとの連携で顧客対応業務をシームレスにつなぐ
キーノートではServiceNow Japanの執行役員社長 鈴木正敏氏がビデオ登壇し、Zoomとの連携について次のように説明した。
「Zoomとは2020年に正式にパートナーシップを締結し、双方のサービスを効果的かつシームレスに連携できる仕組みを開発・提供しています。具体的には、弊社製品とつながるプラグインを提供することで、お客様は特別な作業や設定を行うことなく、業務用途に合わせてZoomとServiceNowを組み合わせて利用していただけます」(鈴木氏)
特に両者の強みが生きるのが、カスタマーワークフローの領域だ。たとえば、顧客からさまざまなチャネルを通して問い合わせがくる。これに対して、社内の関係部門が連携して原因を調査し、対策を講じ、顧客に回答を返す。この一連の業務をデジタルでつなぐのがServiceNowであり、そのプロセスで不可欠な顧客や社員間のコミュニケーションを担うのがZoom Contact Centerだ。
「たとえば、お客様からの問い合わせ内容をZoom Contact Centerでフィルタリングし、具体的になった案件をServiceNowのワークフローに渡します。そこで生じる社員間や社員とお客様とのコミュニケーションをZoomで行えば、両製品でのやり取りはすべてログとして蓄積され、誰がいつどんな対応をしたのかがすべて把握できます」(鈴木氏)
そして鈴木氏は、ServiceNowとZoom Contact Centerという2つのプラットフォームが連携することで、お客様対応業務の全体最適化、効率化を実現できると強調した。
生成AIソリューション「Zoom IQ」など新製品も続々登場
説明を担当したZVC JAPAN 技術営業部 ソリューションズエンジニア 面谷修平氏は、Zoom IQを「コラボレーションを強化して、人々の生産性を向上させるZoomのAIプラットフォームです」と述べ、そのプラットフォーム上で開発された営業向けのソリューション「IQ for Sales」について、次のように紹介した。
「たとえば、Zoom MeetingsやZoom Phoneによるお客様との商談データを文字起こしし、分析することで、議事録を作成したり、必要なアクションを提案したりしてくれます」(面谷氏)
また、ZVC JAPAN 技術営業部 シニアソリューションズエンジニア 安田真人氏は、オンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッド型イベントを管理する「Zoom Events」を紹介した。
「たとえば、年次の全社会議、オープンキャンパス、各種カンファレンス、音楽フェス、フランチャイズ加盟店向けのイベント……など、オンラインとオフラインを組み合わせたさまざまなイベントの開催・運営を使い慣れたZoomのユーザーインターフェイスで実現できます」(安田氏)
セミナー会場では、今回の主役であるZoom Contact CenterとZoom Virtual Agentのほかに、Zoom One、Zoom IQ、Zoom Events、Zoom Phoneの最新製品の展示・デモも行われた。各ブースでは、多くの参加者がツールを操作したり、担当者に質問、対話したりする姿が見られ、Zoomの最新製品への関心の高さ、将来への期待、熱気が感じられた。
Zoomは、コロナ禍のテレワークや人々の生活を支えた重要なデジタルツールの1つだ。そのコロナ禍が収束しつつある現在、Zoomはその能力を強化し、“次の時代”のビジネスや人々の生活を支える新しいインフラを目指して進化を始めている。今回のイベントの内容は動画で一部公開中だ。「人とのつながり」を掲げるZoomが描く、顧客体験(CX)・従業員体験(EX)をぜひ自身の目で確かめてほしい。
さらなるCX・EX向上のヒントを知りたい方はぜひご覧ください。
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