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  • 2023/04/26 更新

企業間紛争で18年活躍した弁護士が教える、リーガルテックを活用した契約書レビュー術

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法務部門の人材が不足する企業では、企業間の契約書の作成を事業担当者や責任者が行うことが多い。しかし、業務開始後にトラブルが発生し、企業間で争うことになると、やはり専門的な知識が必要だったと痛感するだろう。こうした課題を受け、近年では法律とテクノロジーを掛け合わせたリーガルテックに注目が集まっている。本稿では、実際に発生してしまったトラブル紹介とともに、確認すべき契約書のレビューのポイントや対策方法について、実地経験が豊富な弁護士が解説する。
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企業間のトラブルは多くが「契約書」で決まる
(Photo/Shutterstock.com)

秘密保持契約(NDA)のトラブル実例

 まず初めに、実際に生じた企業間のトラブル事例を紹介しよう。なお今回の事例は秘密保持の観点から、内容を抽象化している。
●紛争事例
A社から業務を受託していたB社が、A社の競合であるC社にA社の新商品の情報を漏らしてしまい、A社からクレームが来た
 状況をもう少し詳しく説明すると、もともとはA社の営業担当がB社の担当に口頭で情報を漏らしてしまい、B社の担当はそれほど重要だという認識もなく、またA社から聞いた情報だったことを忘れてC社に話してしまい、A社からクレームが来たというものだ。

 ポイントは秘密保持契約(NDA)にある。企業間の取引をする際には、NDAを締結することが多い。NDAには、秘密情報の定義がされている。開示された情報が秘密情報に該当するものであれば、守秘義務を負うことになる。

 紛争事例のA社がとるべき対応としては、秘密情報の定義を広く設定しておくことが大切だ。開示した情報は、基本的にカバーされるようにする。ただ、定義が広すぎて、漏えい事故が起こりやすいという弊害もある。そこで運用上の予防として、特に重要な情報を開示する際には、情報をリスト化して送ると良い。

 一方B社側としてとるべき対応は、真逆だ。契約締結段階で、秘密情報の定義の範囲を限定する。たとえば、「秘密文書」や「CONFIDENTIAL」などと明示された文書だけが守秘義務の範囲だと限定する。すると、情報をもらう側としては、その範囲内の文書だけが対象になるので、漏えい事故を防ぎやすくなる。

 この件は、最終的にはB社がA社に謝罪をして、支払いなしで落ち着いた。こうした企業間トラブルは珍しいことではない。しかし、実際に法務部門のリソースが不足している企業は、どのように紛争を防げばよいのだろうか。企業間紛争を専門分野として、18年間活躍したリセ 代表取締役社長、弁護士 藤田 美樹氏に話を聞いた。

この記事の続き >>
・弁護士が教える、秘密保持契約レビューの「5つのポイント」
・業務委託契約における損害賠償条項の修正例
・弁護士の知見とAI技術を駆使したリーガルテックとは?

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