- 2024/08/30 掲載
アングル:日本株ETF、アクティブ運用型が好調 底堅い市場が追い風
[30日 ロイター] - 日銀の利上げをきっかけに日経平均株価が1987年以来最大の急落に見舞われてから1カ月足らずで、主要市場のベンチマークは安値から立ち直った。だが7月下旬に記録した水準はまだ回復していない。
これは一部のアクティブ運用上場投資信託(ETF)にとっては朗報とみられると市場アナリストは指摘する。
日本に特化したETFは数でも運用資産の規模においても指数連動型が依然として大半を占める。しかしアクティブETFの運営会社は、株価急落により長期的に好成績が期待される銘柄を割安でポートフォリオに組み入れることが可能になった。
マシューズ・ジャパン・アクティブETFのポートフォリオマネージャー竹内俊太郎氏は、日本への投資にはアクティブ型のアプローチが最も効果的と述べ、今回の急落時のように特定の銘柄が本質的価値から大きく懸け離れたときに生じる機会を利用できると指摘した。
同ファンドの運用資産は380万ドルにとどまり、米国に上場する日本株ETFの中で最も小さいが、LSEGによると年初来21.7%のリターンを上げている。これは159億ドルと最大規模を誇るインデックスファンド、iシェアーズMSCIジャパンETFの11.3%や日経平均の上昇率14.6%を上回る。
竹内氏はロイターの「インサイドETF」で、日本株はアクティブ運用の銘柄選びに適していると語った。ハイテク銘柄の「マグニフィセント・セブン」が米S&P総合500種で大きな比重を占めているのとは異なり、日本の大型株は主要株価指数に大きな影響を与えているわけではないからだと解説した。
このため銘柄を選ぶ余地があるとし、ファクトリーオートメーション、建設、テクノロジー、コングロマリット(複合企業)、小売企業などのセクターを挙げた。
レイリアント・グローバル・アドバイザーズは4月、三井住友DSアセットマネジメント(SMDAM)とレイリアントSMDAM日本株ETFを立ち上げた際、アクティブ運用戦略を選択した。調査会社ベッタフィのデータによると、立ち上げから4カ月で約6%のリターンを上げている。
レイリアントのポートフォリオマネジャー、フィリップ・ウール氏は、日本株市場は何千もの銘柄があり、アナリストのカバーは比較的薄く大型株中心だとし、こうした条件はアクティブな銘柄選定に有利に働くと述べた。
例えばジャパン・アイウェア・ホールディングスは、円高と消費者心理の改善を受けて成長する可能性があるという。
企業の配当や自社株買いの増加、円安により日本の株価指数は過去1年半で最高値を更新した。JPモルガン(東京)の営業・マーケティング部門トップ、林大樹氏は、現在株価指数から個別銘柄に焦点が移っているとの見方を示した。
投資家や市場アナリストによれば、運用担当者はベンチマークを上回ると期待される銘柄を探し出しており、これは長期に及ぶ強気相場で典型的な行動という。
レイリアントのウール氏は「アクティブ(運用)の投資家は、こうした特異な成長機会を探して成功することが可能だ。ここ数週間、日本の小型株は特に好調だと話した。
投資家にとってネックとなり得るのは、アクティブ運用のETFは指数連動型ファンドよりも手数料が高い傾向にあることだ。レイリアントの手数料は0.72%、マシューズ・アジアETFは0.79%と、iシェアーズ・ジャパンの指数連動型ファンドの0.50%を上回る。
ウィズダムツリー・インベストメンツのジェレミー・シュワルツ・グローバル最高投資責任者(CIO)は、同社は指数連動型ETFの提供に重心を置くが、バリューの要素に焦点を当てた独自の定量的ベンチマークを構築していると話す。これによりポートフォリオマネジャーの主観的な決定を排除した一定のカスタマイズが可能になるという。
運用資産8300万ドルのウィズダムツリー・ジャパン・ヘッジド・スモールキャップ・エクイティー・ファンドは、過去6カ月で2300万ドルが流入し、年初からのリターンは11.23%となった。
シュワルツ氏は「最近の為替の変動は短期的な不確実性をもたらした」とし、「市場が2年程度上昇を続けた後に調整が起きると、人々は必ずチャンスを逃したのではないかと心配する。しかしこれは5─7年にわたるチャンスであり、ゲームはまだ序盤だ」と語った。
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